YouTubeからスターシェフが生まれる時代になる!?

大木 これからのレストランの在り方は明らかに変わると思います。

アメリカみたいに、高性能のキッチンカーが多くなったり、ゴーストキッチンみたいなものもありますよね。これからは“ウィズコロナ”ということで変わっていかざるを得ない。

ではそこで何をするのか?

牧元 危機感のあるシェフとかオーナーはそういうことを考えていますよね。

この間、焼肉屋の人と会いましたけど、新たに通販ビジネスみたいなことを考えている方もいましたね。実店舗のビジネスとは別に。実店舗のあるところは、通販とかそういうことを、どれだけ今後も続けて考えて行けるか、っていうことも1つの流れです。

一番簡単なので言うと、さっきのパスタソースなんかは、冷凍品販売流通免許の取得は大変ですが、その免許を持たれている会社と組んで、真空パックにして冷凍して送れば、ストックスペースだけの問題なので。これは通販でも結構簡単にできると思います。

浅妻 パスタソースはよくできてますよね。

牧元 それで差別化をすることができれば、伸びると思いますよね。

松浦 あとは、法的なところに対するアプローチもいろいろですよね。各種免許も地域の保健所というか、担当者によって運用が違ったりするからグレーゾーンが微妙なんですよね。

牧元 そうそう。微妙なの。

松浦 発注を受けて冷凍したものを届けるのはいいけど、冷凍したものをストックして販売してはならぬ。そういう商売なら「食品の冷凍業」の免許が必要だとか。かなり細かい縦割りがあって。

その辺りまできちんと考えている人たちは、かなり細かくグレーをつぶしに行ってますよね。時限酒販免許もそうですし。牧元さんがおっしゃっていた、お惣菜の話とかもそうですよね。

牧元 あと、テイクアウトとか通販以外の稼げる方法として、これはすごい難しいんですけども。例えば、まず1つとしてオンラインサロンですよね。月々1000円でも、400人いれば月に40万入って来るわけですよ。

一同 ふーん。

牧元 だからと言ってどうなの、ってわけじゃないですけど。そいうことをやったりとか。後はYouTubeですよね。例えば、『羊SUNRISE』の関澤さんは、店のYouTubeを始めてますけども、そういうシェフも増えていくと思います。

大木 『ラ・ボンヌターブル』の中村シェフも始めましたね。

浅妻 昔のスターシェフとは違うスターシェフが生まれるかもしれないですね。

牧元 そんなこと言っちゃ失礼だけども、美味しい美味しくないよりも、そっち側の才覚があるかどうかじゃないですか。

喋る才覚とか、画角の取り方が上手いとか。そういう才覚も必要じゃないですか。YouTubeだったら、そこに出すコピーを考えるのが上手い人だとか。そういう才覚も必要になってきて、いろんなことが起きると思いますよ。

浅妻 柔軟であるべきと。

牧元 だから、これからリモート社会に入ってきたらどうしても、ITに触ってないという人は難しいと思うんですよね。

小石原 そこで振り落とされちゃいますよね。

牧元 選択肢が一方的に消えちゃうんで。そこで宣伝をするということを考えていかないと、ちょっと難しいところもあるかもしれない。

生き残るために、レストランが選ぶ道は色々ある

松浦 ブロガーのコグレマサトさんが、懇意にしている店のデリバリーを手伝っていて、メールフォームから受注したら、顧客情報がそのままグーグルマップのピンに落とし込まれるという誰でもマネできるすばらしい仕組みをnoteで公開していました。

周辺の細かいノウハウも共有されていて。ITというかソーシャルなのか分からないけど、自分の外側にある知見をどれだけ取り込めるか、というのは生き残りの1つのカギになりますよね。

牧元 テイクアウトアプリっていうのも今は同時に3社くらいが走っていて。そこに入れば、まあ簡単ではないですけど、できるようになったりとか。テイクアウトデリバリー代行、みたいなものも、会社としてやり始めているので。

そういうところを利用する、っていうのもあるかもしれないですね。

小石原 今は乱立してきてますよね。

松浦 取捨選択に入って来るでしょうね。アプリもデリバリーもそうですし、さっき牧元さんがおっしゃっていたように、シェフが今後何に軸足を置いていくのかから目が離せません。それこそYouTubeに注力するシェフだって出てきています。

どういう形でもがんばっていただきたいですが、無理はやめていただきたい。ヘタをするとただただ消耗してしまう。得意な分野を見極めていただきたいな、と思います。

小石原 不得手なところに無理して入るとね。

松浦 SNSが苦手な人がTwitterやFacebookに注力しても。あまりいいことはないんで(笑)。

大木 でも、そういう人はなかなか難しい時代ですね。

松浦 そういう人は地域密着で。地元のコミュニティに深く入っていくとか。やり方はいくらでもあると思います。

大木 確かに、近所に新しくできた居酒屋さんが、「包丁研ぎます」みたいなのを出していて、喜んで研いでもらいました。

浅妻 すごい地域密着でいいなあ。それでお魚売ります、お野菜売りますって言ったら、お魚はまず絶対買いに行くし。コンビニ代わりのスポットになるといいなあ。

大木 新富町の『kamenote』が魚を販売していて大人気ですね。

kamenote

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“「テイクアウト予約」取れる店と取れない店”、差はどこにある? 『東京最高のレストラン』座談会:1

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