「パン作りには、小麦の栽培が勉強になる」

作り方の指導は、肉まん作り歴3年の片根シェフが担当した。

自分たちで作った小麦を練り、肉まんの皮を作る。

小麦粉、塩、砂糖、イーストが入ったボウルに、太白ごま油を混ぜた水を加え、手でこねる。これを発酵させたものを小分けにして餡を包む。餡は片根シェフが事前に自作した。

焼いてパンにするよりも蒸したことで粉の味がストレートに伝わる料理だった。

「製粉がいいので、粉の風味を愉しめる肉まんに仕上がりました」

そして2019年11月。

「種種」のセカンドシーズンが始まる頃、片根シェフは奥様や8名のスタッフと一緒に群馬県甘楽郡へ向かった。

「自然農園まほらま」を営む五十嵐亮さんの協力を得、小麦を栽培することにしたのだ。

「パン作りには小麦の栽培が勉強になると思っていました。どういう小麦が美味しいのか、まだよくわかっていません。

これまではたくさん採れるかどうかで使う小麦を決めてきました。でも、自分たちで栽培すれば、美味しい小麦がわかるのではないかと思っています」

カタネベーカリーの種まき(画像/カタネベーカリー提供)

畑の広さは約650坪。標高は510m。「寒暖差が激しいこともあり、小麦栽培に適しているのではないか」と片根シェフは読んでいる。

複数の種を混ぜてまいた。あえて混合にしたのは、土地に合った品種を探すためだ。

2月下旬、片根シェフは再びスタッフと一緒に小麦畑へ足を運んだ。麦踏みをするだめだ。厳冬期に麦を踏むことでより元気な小麦が育つ。

小麦はあまり手間がかからないため、頻繁に足を運ぶ必要がない。6月の収穫を迎えるまで、管理は五十嵐さんに一任するつもりだ。