「小さなパン屋の未来の仕組み、スタイルを模索」

種まき後、五十嵐亮さんや店のフタッフと一緒に撮った記念写真。前列左から二人目が五十嵐さん 画像/カタネベーカリー提供

収穫した小麦の特徴に合わせて、もっともベストなパンを作ろうと思っているという。

そのパンは販売することになるはずだが、産地が異なる小麦とブレンドするかどうかは未定だ。

「こればっかりは収穫してみないとわかりません。小麦に産地の特徴が出るのが理想です。少しでもそういう小麦に近づければいいですね」

大きな製粉会社が作った小麦粉でパンを焼くスタイルは、ナショナルメーカーに任せればいいというのが、片根シェフの意見だ。

「うちのような小さなパン屋の未来の仕組み、スタイルを模索している最中です。やれるところは、すべて自分たちで作るスタイルを実践すべきではないかと思っています」

いまは、そのための準備段階だ。

「美味しくない小麦が採れるかもしれませんが、立ち止まるつもりはありません。万が一うまくいなかったときは、来年どうするか改めて考えます」

カタネベーカリーが自家栽培した小麦を使ったパンはどんな味なのか、ぜひ食べてみたい。

五十嵐さんが4月下旬の小麦畑の様子を撮影して送ってくれた

【カタネベーカリー】

住所/東京都渋谷区西原1-7-5
電話/03-3466-9834
営業時間/7時〜18時(日曜〜14時)、カフェは7時30分〜LO18時(火曜水曜はLO15時)
定休日/月曜、第1・3・5日曜

※緊急事態宣言発出後、カフェを休んでいたが、6月2日から営業再開

協力/GARVY(実業之日本社)

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東京五輪開催前の3歳の時、亀戸天神の側にあった田久保精肉店のコロッケと出会い、食に目覚める。以来コロッケの買い食いに明け暮れる人生を謳歌。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』、『自家菜園のあるレストラン』、『一流シェフの味を10分で作る! 男の料理』などの他、『笠原将弘のおやつまみ』の企画・構成を担当。