── 十夜連続配信の第1回配信分は、21万再生!! 今までの配信の累計視聴は100万を超えました。すごいのひと言です。
一之輔 まあ、21万はアーカイブで観ている人が多いですけど、今、普通に、毎日生でだいだい1万人くらいが同時視聴しているということは、結構すごいことだな、と。
生で配信するというのは、自分のためでもある。配信を始めるとき、自粛で中止にならなければ、鈴本演芸場のトリで、自分が上がるはずだった時間に、あえてスタート時間を設定しました。
神保町の、らくごカフェという会場を借りて、そこで配信しているんですけど、毎日神保町に通って、移動時間に、今日は何やろうかなと考えたりして、落語家としてのモチベーションを持続する手立てとしてやっている。
生配信している映像の隣に、チャットのコメントが、まあ、観ている人たちの意見とか雑談ですね、それが流れていて、後で読んだりすると、まあおおむね好評ですね。
── 一之輔さんの師匠の一朝さん(今回の「よみらくご」にも出演)から、オンライン配信について何かご意見がありましたか。
一之輔 コロナからこっち、師匠に会ってない(笑)。
電話でちょっとしゃべるくらい。ただ、一朝師匠はぼくの配信、観てないと思います。
── 一朝師匠のような落語界の大ベテランの方たちにも配信が広がると、状況的にはさらに厚くなりますね。
一之輔 一朝師匠は自分からやるとは絶対言わないと思います。こういうときはしょうがねえよ、っていう生き方だと思うので。
ただ、このまま配信が主流になっていったら、普通に一朝師匠とぼくの親子会とか、一門会とか、ライブではすでにあるような企画を、配信でもやっていけると思います。
さらに言うと、今後は、落語協会で配信を仕切ったりするような、配信の大きな軸のような場所を作って、みんながバラバラにやるのではなく、みんなに、ある程度お金が行きわたるようなシステムが持てるといい。単発で個々にやっても、お客さんが困る。
すでに、どの配信を選べばいいのかわからないという状況で、同じ時間帯に別々の配信があったりして、飽和状態とも言える。
若手が何人か集まる配信とか、寄席形式の配信とか、落語協会などが仕切って行うことで、微々たる額とは言え、いくらかはみんなに行きわたるという、
軸になる配信の枠組みが2本くらい走るといいですね。
── オンラインの落語会なら、東西の交流とか、協会が違う方たちの交流も、当然実施は可能ですね。
一之輔 双方に場所とスタッフがあれば、距離的に離れていてもできるわけですからね。
東京の若手と大阪の大御所の人が出るとかね。移動のお金も宿泊のお金もかからない。
春風亭一之輔
1978 年、千葉県野田市生まれ。大学卒業後の2001年、春風亭一朝に入門。2004年11月、二ツ目昇進、「一之輔」と改名。2012年3月、21人抜きで真打昇進。200を超える持ちネタがあり、滑稽噺から人情噺まで広く古典落語を演じるとともに、現代的なセンスの効いた独創的な高座で知られる。当代きっての人気を誇り、年間900席もの高座をこなすなど、寄席、ホール落語問わず精力的に活動。