声優・野沢雅子のスゴさ
―― 本公演の一番の見どころ、こだわりポイントを教えてください。
水島:今回のキャストの皆さんはマコさん(野沢雅子)のために集まってくれていると思っています。今作では、マコさんが一人で幼少期から晩年までを演じて、その時代に合わせてキャストが代わっていくのですが、そこが一番の見所だと思います。こんなことをできるのはマコさんしかいない。
例えば、森光子さんは『放浪記』で女学生時代から晩年までを演じられていて、それも十分すごいのだけど、マコさんは幼少期からできる。それは声優だから。
大塚:「オラ、ワクワクすっぞ!」って言えるんだもんね(笑)。マコさんって、本当すごすぎる方なので。疲れたって思ったことが無いらしいね、あの方が一番サイヤ人かもしれない。
水島:アニメ番組のオーディションの時に、僕だったら台本をもらって役作りを考えてからマイクの前に立つんだけど、マコさんは前もって作らずに、座っているところからマイクの前に歩いて行く間に、自然とその役の声になるんですって。
小野:すごい……。僕は野沢さんとお会いするのが初めてなので、本当に楽しみです。
水島:そのマコさんのすごさを、この「笑う朗読」では笑いを通して皆さんに伝えていきたいなと思っています。
「朗読」の魅力とは
―― アニメーションや舞台など、表現する方法は様々ですが、「朗読劇」の一番の魅力はどんなことだと思いますか?
大塚:一番自由度の高い表現方法でしょうね。アニメや吹き替えだと、元となるキャラクターからあまりに大きく外れることはできないけれど、朗読劇はビジュアルが無い分、自分で考えて演じることができる。
水島:だからこそ、演じる人の技量にかかってくるんですけどね。だから実力派ばかり揃えないといけないんです。
小野:僕も大塚さんがおっしゃるとおり、自由だけど難しいというのが朗読劇の魅力だと思います。アニメーションの現場だったら事前に練習をしますが、朗読劇だと相手の方がどういう読み方をするのかまでは事前にわからないので、その場で変えていかなければいけない。
大塚:そうだね。難しいと思えば難しいけど、自由だと思えばとても楽しい。考え方の違いだと思います。
―― 皆さんは“笑わせる”演技というのはご自分で得意だと思いますか? 難しいと思いながら取り組んでらっしゃいますか?
大塚:人を笑わせるっていうことは一番難しいと思うので、毎回挑んでいる感じですね。
水島:大塚さんの人を笑わせようとする意欲ってすごいんですよ。前回公演では寿美菜子さんと親子役だったんですが、ハリセンで思い切り叩かれるシーンで、角度や強さを一生懸命コーチしていて。
―― ハリセン! 痛くなかったですか?
大塚:ハリセンの質が悪かったのか、結構痛くてね(笑)。
水島:ごめんね(笑)。
小野:僕は(笑わせる演技は)あまり得意ではないですね。無理に笑わせようと思うとお客さんは冷めちゃうと思うので、一生懸命取り組むことが大事だと思っています。ひたすら一生懸命に。
水島:いやあ、前回の「ラフィングライブ公演」でも、賢章はかなり笑わせてくれましたよ。飛び道具的なキャラクターだったのですが、それ以上にかなり盛り上げてくれました。
小野:(笑)。そうですね、かなりぶっ飛んでいるキャラクターだったので。
大塚:こんな若いうちにね、飛び道具的なキャラクターを演じるのってすごく難しいんだよ。年取るともっと図々しくできるというか、ベテランが飛び道具を演じるというだけで笑ってくれる部分があるけど、若いと難しい。だからすごいんだよ。