順位付けをしないことによる子どもへの影響
挫折を知らない弱い精神になってしまう
世の中は競争社会です。幼稚園児であれば、あと数年もすれば小学校で点数という形で成績を付けられ、評価されます。社会に出れば尚更ですね。
順位付けをされないまま育つことで、自分が他人より出来ない場面を目の当たりにしたとき、酷く落ち込んでしまいます。ある意味“耐性”が付いていないのかもしれません。
適度に挫折感を味わうことで精神的にタフになり、その後の人生で壁にぶつかったり、人より出来なかったときに、そんな自分を受け入れられる精神力も付いていきます。
かけっこは遅いけれども絵が上手いなど、そこでは優勝できなくても他のことで評価されている子もいます。運動会だけにスポットを当てるのはよくないのではないでしょうか。
また、他の面ではパッとしないけれども「あの子は運動神経だけは素晴らしく発達している」ような場合、ここで勝たせてやることも大切なのではないでしょうか。
好ましくない、子どもへの励ましの言葉
たとえ一番からビリまで順位付けをしなくても、運動会をやれば勝った、負けたは起こります。プールで泳いでも、お受験しても、合否判定されるのも同様です。
こんなとき、親が次のような言葉をかけてしまうとどうでしょう。
- 「どうして一番になれないの!もっと頑張らないとダメでしょ!」
- 「優勝できなくてお前は悔しくないのか!お父さんは恥ずかしい!」
こうなると、子どもには「優勝しなくては価値がない、1番でないと意味がない、負けることは悪いこと」という価値観がついてしまいます。
また、親がついかけてしまう次のような言葉があります。
- 「優勝できなくて残念だね。今度は頑張って絶対に一番を取ろうね」
これも裏返せば「一番でないと認めない」とも受け取れます。親は励ますつもりで言っているのかもしれませんが、中には大きなプレッシャーを感じてしまう子もいます。
更に、こんな行動をとってしまう子もいます。
- 「これ以上頑張って走っても勝てない」と思った時点で歩き出す
- 完走しないで棄権する
- かるたやトランプやすごろくなどのゲーム中、「これ以上続けても負ける」と分かった時点ですねて怒って、ゲームを中断させる
- 競争することに極度の緊張感を持ってしまう
- 負けた子に対して差別意識が生まれる
競争に負けてしまった場合、子どもにかけたい言葉
負けた悔しさから子どもが泣いていたら、次のような言葉をかけてあげましょう。
- 「一番になれなくて悔しいね、悲しいね」と、子どもの気持ちに寄り添う“共感”の言葉をかける
- 「残念ながら結果は出なかったけれども、最後まで走っていて素晴らしかったよ。頑張ったね」
- 「走る練習を重ねていたから体力がしっかりついたね」
と、結果を評価するのではなく、努力をした過程を認めてやりましょう。
まとめ
負けた子にも参加賞を与える、リレーなど運動能力に合わせてグループ分けするなどの配慮は必要だと思います。でも、競争は一切させないというのは実生活の中では出来ないことです。
また、子どもは順位をつけられることで、実社会で生きていくために必要な心の強さを身に付けていきます。
負けた子は、悲しく、悔しい思いをすることになりますが、それだけで十分心が育っています。
親が子どもに期待したり、優勝を誇らしく思うのは当然ですが、一番だけにこだわったり、ビリになったことを嘆き悲しんだりして、“傷口に塩を塗る”ような言葉をかけることは止めましょうね。