GONZO創立25周年特別企画　千明孝一監督に聞く『青の6号』『LASTEXILE』『ブレイブ ストーリー』の制作秘話【前編】

『LASTEXILE』のフィルム感を作りだしたGONZO作品の監督

――やっぱりGONZOさんの作風と千明監督の作品作りの考えはマッチしていたのでしょうか。

千明：『LASTEXILE』って2003年でしたけど、2002年から2004年くらいまでって、GONZOのピークだと思うんですよ。作品数もそうですし、いろんなバラエティがあって、『ガドガード』とかいろんな監督さんが並行でやっていて。例えば後藤圭二さんもその頃『キディ・グレイド』を作っていたりとか。

――『カレイドスター』なども。

千明：いちばんいい時期で、『カレイドスター』なんてほかのGONZO作品と全然違うじゃないですか。個人的にも大好きな作品です。

――たしかにほかの作品とは違う雰囲気ですが、大傑作ですね（笑）

千明：片や『カレイドスター』で、片や『LASTEXILE』をやっていて、横で『ガドガード』を作っていたりするんですよ。

――GONZO作品の凄いところは、『青の6号』からそうなんですけど、世界観と空気感が突出しているじゃないですか。それぞれの作品がマニアックさや独特の空気感を持ちながら、全然違う作品がいっぱい出来てくるっていうバラエティさもあって。

千明：それと同時にいいところが、スタジオ内に前田さんもいらっしゃいましたし、『トリニティ・ブラッド』の平田智浩さんに、『ヴァンドレッド』のもりたけしさんや『戦闘妖精雪風』の大倉雅彦さんたちがいらっしゃって、刺激ももちろんあるんですけど、（自分がやっている作品を）手伝ってもらえるんですよ。

『LASTEXILE』だと、OPとEDって僕はやってなくて、平田さんに完全にお任せしました。平田さんの作られるカットがすっごくいいんですよ！

――すごく独特な映像美でしたよね。

千明：びっくりしましたね。実は3D班と一緒に『LASTEXILE』のパイロット版も作っているんですよ。だけど、最初はあまり上手くいかなくて、質感もそうだし、空気に乗って飛ぶ感じとかも、どうかなコレって思っていたんですけど、制作に入っちゃうじゃないですか。

そんな時期に平田さんの作ったOPが出来上がって、みんなで観て、「もうこれですよね」みたいな（笑）

――OPが先に出来たんですね。

千明：OPが1話よりも先に出来ますので、『LASTEXILE』に関しては平田さんのOPに、質感もそうですし撮影全体の雰囲気も完全に引っ張られています。

撮影監督の堀内隆さんも、『青の6号』に比べたら格段にフィルターをかけてフィルム感を出してやっているんですよ。それが表現として到達したのと、3D監督のソエジマヤスフミさんも凄かったので。それができたのも、平田さんのOPのディレクションがあったからですね。

――撮影でのフィルターがけは、いまの時代にも通じますよね。『LASTEXILE』のOPは物凄いフィルム感といいますか、そういった3DCG＋デジタル撮影ならではの。

千明：いまのデジタルの撮影さんも、すごくがんばっているところいっぱいあるんですけど、ちょっと過剰すぎる気がします。

――いまのアニメのクオリティと呼ばれているところですよね。

千明：それをしないと作品が劣っているように見られてしまうんですけど、平田さんがやった『LASTEXILE』のOPの質感って、負けてないと思うんですよね。それでいて品がある感じです。平田さんのお手柄です。大好きですね。自分が『LASTEXILE』のOPとEDをやってないのが悔しいです（笑）

――平田さんはその頃『トリニティ・ブラッド』とかをやっていたころですよね。あの作品も物凄い映像美のある作品でした。

千明：やっていましたね。

（インタビュー後編は27日に公開）

GONZOファン必見イベント「25th Anniversary GONZO FESTA 2017」開催決定！

2017年で25周年を迎えるGONZOは、6月18日に記念イベント「25th Anniversary GONZO FESTA 2017」を開催。GONZO創立25周年記念作品「18if」を記念して取り組んでいる新作アニメの先行上映も予定されており、GONZO作品を愛するファンは見逃せないイベントとなりそうですね。

博史池畠さん、石谷春貴さん、中田譲治さん、島﨑信長さんらをゲストに迎え、ユナイテッド・シネマ豊洲（東京）にて開催。チケットはチケットぴあにて5月28日まで一般抽選受付が行われ、6月1日から一般先着がスタート。チケット料金は無料（手数料別）です。