バンドじゃないもん!『METAMORISER』(『つぐもも』OP)

『つぐもも』は、浜田よしかづ先生による『月刊アクション』連載作をアニメした作品。主人公である男子高校生、加賀見一也が、彼の眷属的な存在である桐葉と共に、“あまそぎ”と呼ばれる人間に害悪をなす九十九神(つくもがみ)との闘いに挑む姿を描くバトルアニメです。

お色気たっぷりなサービスシーン満載の作品なれど、「退魔物」「伝奇物」としての見どころも数多く有した作風であり、まさに“萌え(エロ)”と“燃え”のバランスが取れた良作となっています。

本作のオープニングを飾るのは、アイドルグループ「バンドじゃないもん!」による新曲『METAMORISER』。アイドル、アニソンを中心に楽曲を手掛ける人気音楽制作ユニット「Q-MHz」プロデュースによる楽曲は、「ラップヴォーカル+バンドサウンド」なミクスチャーロック調の曲調が特徴のハイテンションな一曲です。

昨今のライブアイドル的な楽曲の旨味がタップリ詰まったトラックであり、バンド感が強いバックサウンドに、ボルテージ高めで早口なヴォーカルが乗るスタイルは、リスナーのテンションを問答無用でアゲアゲにしてくれるハイエナジーな仕上がりに。

メンバーそれぞれの声質の個性も、この曲にピッタリであり、『つぐもも』という作品を実に賑々しく装飾してくれています。

アイドルによるアニソンとしては、冬アニメ『うらら迷路帖』エンディング主題歌の「Luce Twinkle Wink☆」による『go to Romance>>>>>』と並んで、上半期屈指の名曲だと思います。アイドルファンな筆者としても、激オススメな一曲です!

FAガールズ『FULLSCRATCH LOVE』(『フレームアームズ・ガール』ED)

パロディ、お色気、ギャグと、そのサービス精神旺盛な作風で、アニメファンからの支持を得る川口敬一郎監督の最新作が『フレームアームズ・ガール』。

人気フィギュア、プラモデルメーカー、株式会社壽屋が展開する同名のプラモデルシリーズのメディアミックス企画となるアニメで、ふとしたきっかけで人型の自律思考型フィギュア「FAガール」のマスターとなった主人公と、彼女のもとに集うFAガールたちの交流を描くハートフルなコメディ作品です。

所謂“セルルックCG”な3DCGと手描きアニメーションの共存による画面作りが注目を集める本作ですが、主題歌も要注目! オープニング、エンディング共に、「MONACA」メンバーがガッチリとバックアップを行っており、どちらも聴き応えのあるナンバーが提供されています。

神前暁さんの作曲によるオープニング主題歌、村川梨衣さんの『Tiny Tiny』も捨て難いのですが、ここはエンディング曲の『FULLSCRATCH LOVE』をイチ推しとさせていただきます!

とことんキャッチーかつラウドなこの曲は、MONACAの新鋭、広川恵一さんによる作編曲ナンバー。個人的には、昨年の『あんハピ♪』エンディング曲での仕事が深く印象に残っているのですが、今回もスペシャルで素敵な曲をアニメファンに届けてくれました。

一聴して耳に残るのは、その独特な音響を前面に押し出したギターの音。メタリックな上に、エモーショナルであり、ラウドロックシーンで頻繁に耳にする形容詞である"ポストハードコア"的な感性を有したサウンドです。

そこに可愛らしい声優さんの歌声が乗ることで生み出されるアンビバレンツこそが、この曲の最大の魅力でしょう。各エピソード毎に歌唱を担当する声優(FAガールズ)がシャッフルされるという"仕掛け"もポップで、ただただ楽しい限り。

名曲が多い今期アニメ主題歌の中でも、"楽しい"を最も強烈な形で体現している曲が、この『FULLSCRATCH LOVE』ではないでしょうか?

ちなみに、2番では、単純に1番のメロディとリズムをシンプルにリフレインするのではなく、“変態”と称しても良い程の大胆なアレンジが加えられています。その一筋縄ではいかなさも加えて、是非ともフルサイズで聴いて欲しくなる名曲です。