同じクラスだったら、僕が頑張って心をこじ開けます(笑)
青春映画の名手・三木孝浩監督の瑞々しい映像とともに映し出される4人の高校生たちの恋と学園生活。
原作は、第63回小学館漫画賞 少女向け部門を受賞した咲坂伊緒の同名コミック。20代の男性である北村と赤楚の目にも、胸がキュンとなる場面がたくさんあったようだ。
北村「理央と(福本莉子演じる)由奈が図書館にいて、由奈が涙を流すシーンがあるんですけど、あそこはすごく好きですね。
僕は小中高と図書室で過ごすことが多くて。図書室にはいろんな思い出があるんです。図書室って得てして床が絨毯だったりするから、靴を脱がなきゃいけなくて、靴下越しに伝わる感触とか、ちょっと生温かい空気とか、本の匂いとか、全部が好き。
できれば、僕も高校生の頃に女の子とふたりで図書室で過ごしたかったなと思いました(笑)」
赤楚「僕は鬼ごっこのシーンがすごく好きです。自分が高校生のときとか、全然あんな感じのことはなかったから。あのピュアな感じは今でもすごく憧れます」
北村「僕も高校生の頃はあんなピュアじゃなかった。凄く大人ぶってたし、もっと尖り散らしていたから(笑)」
赤楚「そうなの? 単に考え方が大人だったというわけではなく?」
北村「うん。騒がしい男子とか、『ヘッ』って顔で見てた(笑)」
赤楚「それはスレてるね…(苦笑)」
22歳の北村と26歳の赤楚。もしふたりがクラスメイトだったら、どうなっていただろうか。
北村「僕は相当暗いと思う。休み時間とかずっと寝てたし、周りから怖いって言われていて。
高校3年間のあいだ、男友達はバンドメンバーの矢部昌暉だけ。ずっとふたりで過ごしていました」
赤楚「でもそれはあれでしょ? もともと男子が少ないクラスだったんでしょ?」
北村「少なかったのもあるけど、みんなハジけて楽しそうだったから、こんな僕みたいなローな人間はついていけなくて。
相手からこじ開けてくれないと仲良くなれないかもしれない……。」
赤楚「それで言うと、僕は高校の頃はクラス全員友達みたいなタイプで。
ヤンキーだろうがどんな人だろうかみんなと仲良くなれていたから、たぶん大丈夫。頑張ってこじ開けます(笑)」
高校生のときは、将来に対する漠然とした不安があった
恋愛だけではなく、進路に迷う気持ちも繊細に描かれているのが、本作の魅力。将来に悩む高校生の姿は、いつの時代も変わらない普遍的なものだ。
北村「僕も進路は悩みました。本当は大学に行きたい気持ちもあったけど、僕はこの仕事一本で進んでいこうと決めて。。
結局その選択をしたことで、『仰げば尊し』に出ることができたりしたので、これで良かったのかなという気持ちもありますけど、当時はすごく悩んでいましたね」
赤楚「将来に対する漠然とした不安はあったよね。僕も自分って何なんだろうっていう疑問が常に心のどこかにあって。そういうのを忘れたくて、今を全力で生きていたようなところはある。
僕の場合は大学に進学したあと、やっぱり自分の好きなことをあきらめきれなくて、本格的にこの世界に入ったんですけど。
こうやって今振り返ってみて、自分のやりたいことをやろうと決めたあの決断は正解だったなと思います」
劇中では、高台が特別な場所として登場する。ふたりにも、そんな心安らぐお気に入りの場所があるようだ。
北村「小学生のとき、学年のみんながそこで遊んでいるような公園があって。僕らはそこに立っている一本の大きな木に登って秘密基地つくったりして遊んでいました。
今でも地元に帰ったときに、その公園に行くとなつかしい気持ちになります」
赤楚「僕も家の近くの公園が大好きでした。実はそこが映画と同じような高台にあって。映画みたいに綺麗な夜景が見えるわけじゃないんですけど、地元の街が見渡せる素敵な場所だったんです。
僕は悩みごとがあるとひとりで散歩をするんですけど、そういうときはいつも緑が多いところとか気持ちのいいところに行きたくて。
中でもその高台はお気に入りの場所で、よくひとりで考えごとをしていました」
北村「わかるな。僕も自然が好きで、今でも川沿いを1時間くらい歩いたり、夜、土手に寝転がって空を見たりする。そうしてると、なんだか不思議と心が温まるんです」