Photo:小境勝巳

懇意のイノマーに向けた〈死なないで。生きるまで〉

── その『大人全滅』の次の曲が『アーメン・ザーメン・メリーチェイン』。これが切ない曲で、ゾクゾクしますね。実は峯田さんに話を聞くまでは、この『アーメン・ザーメン・メリーチェイン』こそが、『ねえみんな大好きだよ』の核となる曲かと思っていました。

峯田 前に言ったように、今回のアルバムは『生きたい』が軸になるアルバムだと思って始めたんだけど、でも、『アーメン・ザーメン・メリーチェイン』みたいな曲を書けて、大きな意味を持ったことも確か。

── この曲はロンドンで書かれたと聞いています。

峯田 そう。話すと長くなるけど、もともとこの曲の〈死なないで。生きるまで〉っていう歌詞は、去年末にガンで亡くなったイノマーさん(オナニーマシーン)に向けての言葉だったんだ。

イノマーさんが亡くなる前、渋谷のラ・ママでイノマーさんのバンド、オナニーマシーンと一緒にイベントをやったことがあったの。そのときにさ、「イノマーさんに向けて、みんなで寄せ書きしよう」という話になってペンをサッと渡されたんだけど、咄嗟に僕は〈死なないで。生きるまで〉って書いたの。

でも、これは考えて書いたわけでもなく、本当に咄嗟に書いた言葉だった。だから、後になって「俺はなんであんなことを書いたんだろう」って意味がわからなくなっちゃって。しばらくの間、〈死なないで。生きるまで〉という言葉が頭の中でずっとグルグル巡るようになっちゃった。

また、ちょうどこの頃は「曲を作ろう」っていう時期だったから、「この言葉は絶対に歌詞に入れて成仏させないといけない」みたいに思うようにもなってさ。

思えば、『アーメン・ザーメン・メリーチェイン』を作る頃の僕はずっと言葉を探していたんだよね。やっぱり僕の中での音楽って“言葉”なんだよ。真ん中に言葉があって、その言葉にメロディをつけるっていう、本当にそれだけ。

そんな風に『アーメン・ザーメン・メリーチェイン』は曲の骨組み、仮組みだけができている状態だったんだけど、去年の9月にイギリスのバンド、ザ・リバティーンズに誘ってもらって、ロンドンまでライブをしに行ったことがあったの。

そのロンドンでのライブ前日の夜中、「どうせだったら、未完成のままのあの曲を、ここで完成させよう。ちゃんと完成させられたら明日のライブで歌おう」と思ってさ。でも、ホテルで夜中にギターを鳴らすわけにもいかないでしょ。それで夜中の2時頃にギターを持ってホテルを出て、道を挟んで向こう側にある大きい公園墓地に行ったの。

そのベンチで未完成だった歌詞を一気に書き上げて、曲もちゃんと構成して。それで翌日のステージでも歌うことができたっていう。「ロンドンで完成させた」っていう意味でも、すごい記念になった曲だね。