今僕らは境界線のど真ん中にいる
――ツアーの話に戻りますと、新型コロナウイルスの状況というのはどのように感じていましたか?
ASKA:僕はデータとか知識よりも肌で感じることの方が大きくて、わりと早い段階でツアーを延期することを伝えていたんですよ。もしかしたら思っている以上に世の中は大きな渦に巻き込まれるかもしれないっていうことで。事実、そうなってしまったわけですけど。
これから先のことを僕の感覚で言うなら、来年の秋まではライブ・エンタテインメントは成立しないだろうなって思っています。もちろん国のガイドラインに則って、いろいろなやり方というのはあるんでしょうけど、それはあくまで緊急の方策であって、僕らアーティストやお客さんのエモーショナルな部分を引き出せるかって言ったら、やっぱり厳しいでしょうから。
僕はコンサートにおける最大の演出はお客さんだと思っているので、お客さん同士がお客さんを確認しあって、この中に自分がいる喜びを感じるのがライブですから。
自分が好きなアーティストを好きな仲間と同じ空間にいるんだって体感するのが最大の喜びですからね。その状態まで回復するには、とにかく「忍」ですよ、みんなが。そういう中にあっても僕の仕事は歌うことなので、音楽は絶やさず作っていこうかなと思っていますね。
――クリエイトする音楽に今の状況は影響しますか?
ASKA:それはすべてにおいてあるでしょうね。だから今までの状態を基準にした変化形として捉えるんじゃなくて、新しいものとして動いていかないといけませんよね。今までのものをつなぎ合わせたような意識だけだとすべてにおいてダメになるでしょうね。間仕切りはもうしっかり行われたので。
ここからは新世界だと思わないと。そこで生き残っていける人と生き残っていけない人の違いは、その間仕切りを頑張って越えようとする人ではなくて、そこが新しい世界なんだという区別がついているかついていないか、そこだと思うんですよ。
だから、できる歌詞や音楽が変わってくるのも当然なんですよ。やっぱり希望や愛や夢を歌わないと楽曲として成立しませんね。歌の中に恨みを持っているような楽曲っていうのはもうまったく意味を成さないですから。だから、人が気持ちを開くようなものが作品とならなければいけなくて、これから先もっとそうなっていくんでしょうね。
ただ、今僕らは境界線のど真ん中にいるんで、そこを強調して歌うと、すごく無理して空元気で歌っているようにしか見えないじゃないですか。と言って、この境界線を気にせず、今までと何も変わらないように歌っていようっていう意識で作品づくりをしていると、自分の立っているところが見えない作品になってしまう。
ですので、今回配信リリースした3曲(9/11『幸せの黄色い風船』、9/18『自分じゃないか』、9/25『僕のwonderful world』)については、もう境界線のど真ん中に立っているんだから、今しか歌えない歌を歌えばいいと。それを今回の3曲のテーマにしたんですよね。
ここにいるんですから、みんな。だったら自分が生きた記録として、ここにいるんだって歌を作っておこうと思って。そこから時代をくぐっていくごとにまた何かが見えてくるんだと思います。
2020年9月11日より3週連続配信リリース
・9月11日(金)0:00 『幸せの黄色い風船』
・9月18日(金)0:00 『自分じゃないか』
・9月25日(金)0:00 『僕のwonderful world』
・10月4日(日)MV生配信
2020年10月21日(水)リリース
『ASKA premium ensemble concert -higher ground- 2019>>2020』
品番:DDLB-0016 レ―ベル:DADA label
★オフィシャル通販先行あり、詳細は公式サイトをご覧ください。