第2章「ファラオと宇宙の秩序」

第2章「ファラオと宇宙の秩序」は、世界が生まれ、人間社会のリーダーとして、そして神の代行者として君臨した国王ファラオを取り巻く世界を中心に扱う。

《ハトシェプスト女王のスフィンクス像(胸像)》前1479~前1458年頃

額には聖蛇ウラエウス、アゴには付け髭を装着したハトシェプスト女王の姿。ハトシェプスト女王の葬祭殿の参道と中庭に置かれていた。

エジプトでは、王や王妃が人間の頭を持つスフィンクスの姿で描写されることがあった。

《二重冠をかぶったハヤブサで表されたホルス神の小像》前664〜前332年頃

帽子をかぶったかわいらしいハヤブサの姿をしているが、これは太陽神であるホルス神を表したもの。

ホルスは二重冠や襟飾りをつけた姿が目印。なにもつけていないときは単なる動物の像である。

《エジプト人と「アジア人」を描いたセティ1世のブロック》前1290〜1279年
《神格化されたイアスメス・ネフェルトイリと思われる王妃の立像》前1279〜前1213年頃

そして、第3章は「死後の審判」では、古代エジプト人の死生観を紹介する。

エジプト人たちは、死後の再生・復活を信じており死者の心臓以外の内蔵と脳を体外に摘出し、体に防腐処理を施してミイラにした。

摘出した内蔵は4つのカノポス容器に収められるなど、独特の風習があった。その風習から数々の文化や芸術も生まれたのだ。

第3章は「死後の審判」 展示風景

パレメチュシグという名の男のミイラ・マスクは、さまざまな装飾が施されている。

色鮮やかに描かれた銘文からは、埋葬の日付や、男性の名前、父親の名前なども記されている。

《デモティックの銘文のあるパレメチュシグのミイラ・マスク》後50~後100年頃
横から見た《デモティックの銘文のあるパレメチュシグのミイラ・マスク》後50~後100年頃
《タバケトエンタアシュケトのカノポス容器》前841~前816年頃

死者の内蔵を格納するカノポス容器は、ホルス神の4人の息子たちの姿をしている。

左から、腸担当のハヤブサ(ベフセヌウエフ)、胃を担当する山犬(ドゥアムウトエフ)、肺担当のヒヒ(ハピ)、肝臓担当の人間(イムセティ)と、それぞれが特定の臓器を守った。

本展では、俳優の荒牧慶彦さん担当バージョン、東大クイズ王の伊沢拓司さん率いるQuizKnock担当バージョンと、音声ガイドが2種類用意されていたり、展示室の随所に解説のアニメーションが取り入れるなど、古代エジプトの世界をわかりやすく紐解く工夫が積極的に取り入れられている。

この展覧会をきっかけに、古代世界の面白さに目覚める人が大幅に増えていくはずだ。

【開催情報】
『国立ベルリン・エジプト博物館所蔵 古代エジプト展 天地創造の神話』
11月21日(土)~2021年4月4日(土)、東京都江戸東京博物館にて開催