歌川芳藤《心夢吉凶鏡》
歌川広重《教訓人間一生貧富区両道中之図》

江戸時代には漫画の基礎的な表現が登場していた!

興味深いことに、江戸時代にはすでに「吹き出し」や「コマわり」など、今日の漫画表現の基礎的な表現が登場している。

コマは仏教の教えを説く手段として古くから使われていた表現でもある。

漫画の表現や伝え方の礎が江戸時代にすでにあったことを受け、第2章、「職業漫画家の誕生」、第3章「ストーリー漫画の台頭」で、近代の漫画の発展を検証していく。

ヨーロッパの画家たちが浮世絵に大きな影響を受けたように、日本の絵師たちも幕末から明治期にかけて、海外の表現手法や伝え方に大きな影響を受けた。

それまでの戯画は挿絵や漫画へと姿を変え、やがて漫画雑誌が刊行されるに至る。

展示風景より
北沢楽天が表紙を描いた雑誌『東京パック』

現在でも使われる「ポンチ絵」という言葉の語源とも言われるチャールズ・ワーグマンの《THE JAPAN PUNCH》や、風刺漫画家として明治から大正、昭和に一世を風靡した北沢楽天など、貴重な資料も多数展示されている。漫画が、なぜここまで人々の心を掴むのかを知ることができる楽しい展覧会だ。

【開催情報】
『GIGA・MANGA 江戸戯画から近代漫画へ』
11月25日(水)~2021年1月24日(日)、すみだ北斎美術館にて開催