「生前整理」で不安を解消
家族の手間を省くため、大事な書類は1カ所にまとめて家族にわかるように保管してください。また、不動産などの名義が正しいかを確認しておきましょう。
物の整理だけでなく、お金も整理して、年齢に関係なく、どんな人でも万一のことを考えて「生前整理」をしておくことをおすすめします。
生前整理と言っても、年齢や環境によってやり方は人それぞれです。まずはどんな人にでも向いている方法をご紹介します。
1: エンディングノート
自分史やお葬式についての希望など、書く項目はいろいろありますが、お金に関する項目では、どんな財産があるか、相続の希望、パスワード(保護シールなどで隠す)、保管場所などを記載しておきましょう。
エンディングノートに抵抗がある方は紙にまとめるだけでもかまいません。
2: 遺言書
遺言書というとご高齢の方が用意するイメージがありますが、作成は15歳から可能です。
「法定相続人以外に遺産を譲りたい」、「寄付をしたい」、「○○さんに多く譲りたい」などの希望がある方は作成しておくとよいでしょう。
書き方や保管方法が正しくないと法的に効力がありませんので、専門家に相談して作成してください。
高齢者が特にやっておきたい生前整理は?
高齢の方は元気なうちに、また判断が鈍くなる前に、より万全な対策があれば安心です。高齢者に特化した制度を利用し、家族と一緒にお金を管理するのも効果的です。
高齢の親がいる場合は一緒にすすめてみましょう。
1: 生前贈与
相続税対策として利用すると効果的です。ただし、不公平感があると亡くなったあとに遺族でもめる可能性があるため、あらかじめ親族でよく話し合って決めることが大切です。
2: 「家族連絡サービス」や「家族信託」によるサポート
金融機関などへの手続きが困難になる場合に備えて、事前にサポートしてくれる家族を登録しておくと、本人に代わって手続きやお金の管理ができる制度があります。
判断能力があるうちに家族が本人の希望を確認でき、財産を把握することも可能なため、亡くなったあとのお金の整理がスムーズになります。
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生前整理をするために、まずはご自身のお金を記録して管理していきましょう。
年齢にかかわらずお金を整理することは、これからの使い方や残し方を考えることができ、自分のためにも遺族のためにもなります。
ご家族の方にも生前整理の重要性をお伝えして、遺族への大切なメッセージを残してもらうようにお願いしてみてください。
【執筆者】大岡 美紀
キッズ・マネー・ステーション認定講師、ファイナンシャルプランナー、マイライフエフピー認定講師・認定ライター
大阪府在住。一児の母。「お金について考えることの大切さ」を多くの人に知ってもらうため、子ども向け・親子向け・ママ向けのマネー講座や、マネーコラムの執筆をしながら、子どもとママのFPとして活動中。得意分野は、キャッシュレス決済・初めての投資。