「うちの子、発達障害なの…」と周りに伝えると「きっと凄い才能があるはずよ」と励まされることがあります。発達に凹凸のある我が子、“ギフテッド・チャイルド”という言葉が頭をかすめます。
『発達障害に生まれて』のモデルの立石美津子です。
ギフテッドチャイルドって?
ギフテッドチャイルドとは日本語に直すと “英才児、優秀児、天才児”という意味です。ギフテッド (gifted)は、贈り物を意味する英語の「ギフト (gift)」 が語源で、神、または、天から与えられた“資質”と言われます。
後天的に努力に努力を重ねて“勉強が出来る賢い子になった”という意味ではなく、“生まれつきの天才”を指します。だから早期教育を一生懸命したからといって、残念ながらギフテッドチャイルドに育つわけではないようです。
でも、わが子が秘めた才能を持っていたら、それを何とか伸ばしたいと思うのが親心ですよね。
仮にギフテッドだからといって、何でも出来る訳ではない
生まれつきの天才であるギフテッドチャイルド。けれども、何でもオールマイティーにできる訳ではないようです。
桁数の多い暗算が出来たり、3.14159……と円周率を延々と言えたり、ずば抜けた才能を持ちながらも、身の回りの着替え、歯磨、排泄などの身辺自立が出来ていない人もいます。
例えば映画『レインマン』のモデルになったと言われたキム・ピーク氏。彼は生まれつき脳に障害がありました。そのため日常生活は大人になっても親の介護がなければ生きていけませんでした。
ところがその一方で類まれな記憶能力を持ち、9,000冊以上にも上る本の内容を一言一句、暗記していたそうです。
いわゆる“サバン症候群”と呼ばれる人たちで、知的障害や発達障害がある人の中で特定の分野に限って優れた能力を発揮する人ですね。
発達障害!「おめでとうございます!」と言われることも
発達障害の人達のなかには、並外れた記憶力を持つ人もいれば、数学やプログラミングに秀でている人もいます。
“バグとり”というプログラムの間違いを見つける仕事は、こういう人達が優れた才能を発揮することもあるので、マイクロソフト社やグーグル社では“バグとりの専門家として発達障害の人を積極的に採用している”、“自閉症児が生まれると「ラッキー、おめでとうございます!」と言われる”という話もあります。
こんなことを耳にし、我が子が“発達障害”と診断されると、天才児(ギフテッドチャイルド)になることを夢見て、必死で、“温泉掘り”をしてしまう人もいます。
また、本人がしたいことよりも、「親がこうなって欲しい」ことを無理強いしてしまうこともあります。
周りからの励ましがプレッシャーになることも
周りのママ友に「自分の子どもが発達障害だ」とカミングアウトすると、「きっと人にはない才能があるはずよ」と励まされることがよくあります。
幼稚園や保育園の先生から「どの子にも必ず秘めた才能がありますから、お母さん、夢を諦めないで」と励まされている人も目にします。その言葉を支えに頑張っているママもいます。
確かに幼児期に「一生このままだ」と思ったら絶望しか残りません。これらの励ましの言葉は希望になることもあります。