久保史緒里さんはただものじゃない
──“黒髪の乙女”役の久保史緒里さんはどうですか?
白石 佇まいや声の質感がとても上品で、古風な雰囲気もあって、役にぴったりなんですよ。すごくナイスキャスティングだと思う。
壱太郎 それでいて緋鯉背負っていてもあんまり違和感ないんだよね。
白石 なのにインテリ感もあるし。
壱太郎 夏目漱石の小説読んでそうだもんね。そう。摩訶不思議なのにインテリ感もあるって、おもしろいよね。それにすごい舞台魂も感じる。ただものじゃない感じがするんですよ。
先日、乃木坂46の「9th YEAR BIRTHDAY LIVE」を拝見して、輝きとか、見せ方とか、立ち居振る舞いとか、本当に素敵で圧倒されました。共演できて嬉しいです。
──壱太郎さんは、“先輩”役を演じていてどうですか?
壱太郎 実は稽古に入るまで、なかなかキャラクターが落ちてこなかったんです。僕はどちらかというと“黒髪の乙女”のような好奇心の持ち主なので、性格が真逆なこともあって。
でも今皆さんと芝居をしているうちに、「こんな感じなのかな」というのがだんだん見えてきているところです。
──そもそも壱太郎さんは普段は歌舞伎の世界で活躍されている方で、今回のようなタイプの舞台作品は初めてですよね。
壱太郎 そうです、初めての環境です。歌舞伎の稽古って新作でない限り80%は巻き戻さずお稽古が進むんですよ。「このシーンを返します(=繰り返して稽古します)」ということがあまりない。
稽古が4日間だとしたら4回しか通さないし、その日の課題は翌日までの宿題になるんです。
白石 そうなんだ! 舞台はその場ですぐだもんね。
壱太郎 そう、だから新鮮。その場その場の対応力も試されているなって感じです。
──歌舞伎が生かされるシーンもあるそうですね。
壱太郎 劇中劇で歌舞伎のシーンがあります。僕は歌舞伎では女方を演じることが多いので、女性役のシーンもあるんですよ。
白石 上田さんは役者それぞれが持っているものを活かしてくれている感じがします。
──楽しみです。白石さんは“学園祭事務局長”の役はどうですか?
白石 すごく難しいなと思っています。
──役柄がですか?
白石 いえ、芝居がです。この作品は展開が怒涛なので、その中で感情を呼び起こして、発散して、次のシーンにいって、別の感情で、みたいなことがたくさんあるんです。さらに別の役もありますし。
そこの切り替えが今はまだ難しい。頭ではわかっていても、心が乗ってこないんですよね。
──現状、どうしようと思われていますか?
白石 いったん忘れてみようかなと思います。動きは覚えたので、いったん立ち戻って、これから新たに試行錯誤していこうかなって。これからですけどね。
──ちなみにおふたりは生年月日が同じだそうですね。
壱太郎 そうなんです。「同い年だから敬語はやめてくださいね」って僕のほうから言ったのに、結局僕だけ敬語なんですよ。
白石 そうなんですよ。僕だけため口で距離を感じる……。
壱太郎 距離を感じないで(笑)。大丈夫、今、徐々に変化してるから!
白石 (笑)