マル秘! 『アンジェリーク ルミナライズ』のキャラクターの作り方
――キャラクターはどのようにして作られましたか?
伊藤:初代アンジェリークの守護聖を下敷きにし、あえて変えたり、似せたりすることを心がけました。数人はそれで作って、あとはバランスをみて配置していった感じです。
襟川:ルビーパーティーには、キャラクターの性格が被らないように「関係性マップ」というものがあります。陰と陽。静と動。全体のキャラクターバランスをみるためのものです。それも使っていたよね?
伊藤:確かにそれにも、ちょっと乗せたかな。ちなみに何名かは、今までのアンジェリークとは違う方向のキャラクターにしました。
そのキャラクターを見ただけで、「なるほど、今作はこういう方向なんだな」というのがわかっていただけるようにするためです。
――変更したキャラクターは誰ですか?
伊藤:一番は主人公です。物の捉え方や考え方を変えました。彼女が変わることで男性たちの対応が変わりますし、主人公という存在が、最もその時代の価値観を反映すると思うからです。
次に、光の守護聖ユエ。「首座」という最も重要なポジションの守護聖でありながら、身近であるように努めました。今作は守護聖を、神様のような存在ではなく、同僚のように描きたかったからです。
最後は、主人公の執事を務めるサイラスです。彼は、優しいだけの執事にしてはいけないと思っていました。
これは私の体験談ですが、海外出張にいったとき、ホテルで病気になってしまったんです。でも英語が話せないものだから本当に困ってしまって。親切なコンシェルジュがいるけど伝えられない。自分で考えてなんとかするしかない。
結局、そのときは英語を潔く諦め、日本にいる上長に連絡して現地のコーディネーターに繋いでもらいました。そのときのことが頭にあって、それくらいの距離感の執事が、25歳の主人公にはちょうどいいと思いました。
今までのアンジェリークにはいなかった強烈な執事・サイラス
襟川:サイラスは今までのアンジェリークの世界観からすると、ありえないキャラクターです。親切なようでいて素っ頓狂なので、人によってはちょっとカチンとくるかもしれません。
私も、本当にお客様が受け入れてくださるのか、なかなか確信が持てなくて(笑)。
伊藤:最初は社内評価での指摘もすごかったですね。でも、検討会を重ねるうちに「サイラスが好き」と言ってくれる人が増えて。セリフ自体はさほど変えていないので、びっくりしました。
襟川:最初は何なのこの人?と思っていたとしても、だんだん馴染んでくるというか、それが彼の味なのかもしれませんね。
B:物言いは若干失礼でも、常々、主人公のことを考えている存在ですしね。
A:ひどい人ではないんですよね。言っていることは不思議でも、根本に優しさを感じるんです。冷たいとかではなくて、不思議な人だなって理解が出来る。
――トンビの鳴き声は、物まねをしているということでしょうか?
伊藤:そうです(笑)。鳥の鳴き声の設定をつけたのは、先ほど申し上げたような、距離の遠さを感じていただくためです。この人は普通に話をして、頼っていい人じゃないんだなと思ってほしかった。
襟川:インパクトのある面白いキャラクターが出てくることによって、昔からのシリーズファン方も「前とはなんか違うけど、おもしろそうかも」と興味を持っていただけたように思います
ファンに支えられ続けてきた『アンジェリーク』
――ユーザーの声はどこで拾っているんですか?
伊藤:やはりTwitterが多いですね。広く検索をかけて読むようにしています。
襟川:SNSの普及でファンの声がダイレクトに伝わるようになりました。
もちろんそこだけでは見えない声もたくさんあると思いますが、大きなプロモーションの反応やプレイ感想などをリアルタイムで追えるので、とても参考になりますし、支えてくださる方がこんなにいるんだなと励みになります。
『アンジェリーク ルミナライズ』は、ネオロマンス25周年のイベントで制作発表をしました。
発表するまでは「こんなのアンジェリークじゃない」と受け入れていただけないかもしれない…と不安もありましたが、昔からアンジェリークを応援してくださっているファンの方々が「新しいアンジェリークが始まるんだ!」とSNSでトレンド入りするくらい、たくさん前向きなメッセージを書いてくださいました。あれは本当に、感激しました。
伊藤:あのイベントで、まずはこれまで応援してくださったファンの方に伝えるべきだと思っていたので、その思い含めて受け止めてくださったことが、嬉しかったです。
アンジェリークは、ファンの方に支えられて続けて来られたタイトルだと思いました。