ドシッと重たく太いビートが地に響くように「飛行艇」で幕開け

今回の「King Gnu Live Tour 2021 AW」も全国7会場14公演を完走し、のべ約9万人を動員。

12月15日の代々木第一体育館は、ドシッと重たく太いビートが地に響くように「飛行艇」で幕を開けた。

会場中に爆音が轟き、赤く照らされたステージに、アリーナへ襲いかかるように過剰なほどのスモークが立ち込める。その中に常田、井口、新井、勢喜の姿が見える。堂々たるオープニングだった。

続く、高速ナンバー「千両役者」ではバキバキのレーザーが四方八方にクロスし、メンバーを追う左右のLEDに勢喜がドラムを叩きながら叫ぶ姿が映し出されると、客席がジャンプし盛り上げる。

「Vinyl」「Sorrows」とテンポが真逆の曲を交互に披露するのだが、テンポが変わろうが、リズム隊の圧倒的なグルーブでもっていく。常田のファズギター、井口が手拍子をあおり、オープニングから一気に盛り上げた。

Photo by Kosuke Ito

空気をガラッと変えた「ユーモア」から一息ついて、「白日」「破裂」と井口の歌で聴かせる。モノクロームに映し出されるメンバーは、張り詰めるように集中した表情を見せる。

「Prayer X」では井口の顔に大きな粒の汗が流れていた。常田がギターをおろし、ピアノをポロポロと弾きはじめ「The hole」へ。サビでは絶望に満ちた世界にも希望がみえるような、まるで教会にいるようだった。

「泡」の没入感、ライブ仕様の「Hitman」「三文小説」と、どんどん曲の世界観に引き込まれる。