子どもに料理の楽しさを教えてくれる一冊

『平野レミのおりょうりブック―ひも ほうちょうも つかわない (かがくのとも傑作集 わくわく・にんげん)』

子どもの五感を育むといわれる親子クッキング。

将来、家事ができる子に育てるためにも、「いっしょにお料理しなくちゃ!」と思っているママは多いはずです。

でも、幼児にお料理を手伝わせるのって、意外と面倒。教えるのに時間がかかりすぎてママが疲れる、子どもに包丁を与えて野菜を切らせてみたものの、うまく使いこなせなかった……そんな理由で挫折してしまうケースもあるでしょう。

絶対に挫折しない親子クッキング本といえばこちら。なんとレミさんが書いた児童書で、あの「かがくのとも」シリーズの一冊です。

紹介されているレシピは、卵に醤油を混ぜてごはんにかける「たまごごはん」、温かいごはんにバターを乗せて醤油を垂らす「バターごはん」、ごまをすり鉢ですって味付けした後、ごはんにかけて食べる「ごまごはん」など、本当に火も包丁も使わないものばかり。

こんなレシピなら、ママは材料だけ用意して、子どもたちに「自分で作って食べて」と任せちゃうこともできます。

そのほか、いろいろな具材で作るオープンサンドや、タッパーを振って作るミルクセーキのレシピも。

小学校低学年の子どもにもできそうな簡単なレシピなのに、「どんな味になるかな?」というワクワク感や楽しさがばっちり伝わるところは、さすがレミさんですね。

マジメでちょっとドジなお母さんぶりに共感!

『ド・レミの子守歌』

最後にご紹介するのは、料理本ではなくエッセイ本。2人の男の子のママであるレミさんが、初めての子育てに奮闘した日々を綴ったものです。

レミさんのお母さんぶりは、意外とマジメ!

我が子のおむつがとれないことに焦ったり、休みたくて子どもを妹に預けたのに、寂しくなってすぐ迎えに行ったり、子どもが同じ年頃の子となかなか遊ばないことを心配したり……。

そんな新米ママなら誰もが体験のありそうなエピソードが、テンポのいい文章で明るくユーモア混じりに語られていきます。

レミさんの長男、唱くんの描写も抱きしめたくなる可愛さ。赤ちゃんが産まれたばかりの、大変すぎるけど宝物のような日々を思い出して、涙してしまうママもいるかもしれません。

とはいえ、お医者さんに勧められた「乾布まさつ」を「寒風まさつ」と勘違いしたとか、3年保育の幼稚園の申込書をもらってきたのに、書類を書くのが面倒になってやめてしまったとか、なんだかレミさんらしいエピソードもチラホラ…。

大人になった息子さん(和田唱さん)が「相当な覚悟で挑まなければならなかった」と授業参観日の思い出を語るあとがきにも爆笑させられます。

フォトギャラリー平野レミさんイチ推し料理の作り方を写真で見る
  • 【ホタテどっち】
  • 【ホタテどっち】片栗粉を薄くまぶす。
  • 【ホタテどっち】エリンギはホタテと同じ厚さに切り、両面にようじで切れ目を入れる。
  • 【ヤンニョム豚テキ】フライパンに油を熱し、1を入れて両面焼く。
  • 【ヤンニョム豚テキ】

以上、今回は、料理愛好家、平野レミさんの個性と魅力が光る3冊の本を紹介させていただきました。

料理、家事、子育て、結婚生活、すべてを楽しむのがレミ流。最近、ちょっと疲れ気味で「人生を楽しめてないな」と感じるママは、レミ本を開いてみてはいかがでしょうか。

京都在住ライター。私大文学部を卒業し、会社勤めを経てフリーライターに。東京都内で活動した後に、京都市左京区に引っ越し出産。その後は京都で子育てをしながらライター業を続ける。インタビュー・取材記事をはじめ、カルチャー、ヘルスケア、生活などのジャンルで幅広く執筆。