監督が爆笑しながら「OK」を出したハプニングシーン

撮影/小嶋文子

――ミキはイラストレーターという役どころですが、その点で意識することはありましたか?

広瀬:私、絵心が全くないんです。だから漫画家さんとか、絵が上手な人が好きなんです。今回、漫画を描くシーンもあったんですけど、もう何をどう描いたらいいかわからなくて(苦笑)。元から描いてある線をずっとなぞっていました。

特に指導とかもなくて「ここに髪の毛を描いてください」とかって言われるんですけど、「どうやって描くんだろう……」って、震えながら描いてました。

漫画家さんって絵はもちろんですけどコマ割りとかも自分で考えるじゃないですか。改めてすごいなって、実感しました。

――お互いの演技やリアクションなどで印象に残ったシーンを教えてください。

井之脇:それとはちょっと違うんですけど、3話でミキがお花屋さんの外に駆け出していくシーンがあって。そのとき、広瀬さんがドアに思い切りバーン!ってぶつかってて(笑)。あれは忘れられないです。

広瀬:あははは(笑)。走ったら本気でぶつけちゃって。「痛い~」って言いながら、そのまま駆け抜けて行ったっていう。それもハプニングだったんですけど、そのまま使われました。監督は爆笑しながら「OK~」って言ってましたね。

撮影/小嶋文子

――ホントにそのまま使われている部分が多いんですね。広瀬さんは印象に残る井之脇さんシーンはありますか?

広瀬:ミキちゃんはいろいろ妄想をするんですけど、その妄想の中で青年がめちゃくちゃ怒ったり、シュンとしてたりするところがあって。そこは新しい井之脇さんを見られた感じがしました。

普段は本当に優しくて柔らかい方なので、そのイメージが崩れるのが私には新鮮で面白かったです。

井之脇:あのシーンは楽しく演じさせてもらいました。むしろ、今回はそこくらいしか感情を出すシーンがなかったので。ちょっとリハーサルとは違うことを本番でやってみたりもしたんですけど、それを監督がOKしてくれて。楽しいことになっています(笑)。

©木丸みさき・KADOKAWA/ytv

――妄想シーンで印象に残っていることはありますか?

広瀬:お花屋さんにスーツ姿の男性が押しかけているところにアテレコをするシーンがあるんですけど、アテレコしているのはミキの妄想のセリフなのにやっていると本当にそういう風に話しているように不思議と見えてくるんです。

そこは改めて観たときにすごく面白いな、と思いました。実際は全然違うのに、逆に妄想の設定の方にしか見えなくなってくるんです。

井之脇:僕も同じシーンが印象に残っています。壁を隔てて、お店の中と外では全然違うようになっているというか。

僕とそのスーツの人たちは店の中できちんと筋の通ったお芝居をしているのに、完成した映像を観ると、ミキのアテレコのように見えてきて。新しい発見でしたし、面白かったです。