[参考図版]中原浩大《Text Book》1995年 ©Kodai Nakahara, photo: Shigefumi Kato, Courtesy of Gallery Nomart

今日の美術と人間の「感覚」を取り巻く状況にフィーチャーし、現代美術の分野で活動している7名の美術家を紹介する展覧会「感覚の領域 今、「経験する」ということ」が、大阪の国立国際美術館で、2月8日(火)より始まる。

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  • [参考図版]今村源《きせい・キノコ―2019》2019年(リボーンアート・フェスティバル 2019 での展示風景)
  • [参考図版]藤原康博《Church on Cloud》2009年
  • 大岩オスカール《Big Wave (2020)》2020年 作家蔵
  • [参考図版]中原浩大《Text Book》1995年

現代美術界で活躍する7名の美術家の作品が並ぶ

大岩オスカール《Big Wave (2020)》2020年 作家蔵 ©Oscar Oiwa Studio

昨今のコロナ禍のように、人類は数々の地球規模での困難な問題に直面している。人々を取り巻く環境や生活習慣は変化し、日常生活でも多くの行動が制限される中で、新しい経験のあり方が問われるようになってきた。そこでいま、現代美術が人々に多様な経験の機会を提供する媒体として、注目を集めている。

同展では、飯川雄大、伊庭靖子、今村源、大岩オスカール、中原浩大、名和晃平、藤原康博という、現代美術界で活躍する、7名の美術家の作品が並ぶ。彼らは世代も表現形態も異なり、それぞれに独自の手法や素材、表現の世界、実験的な創作活動を探求してきた。

[参考図版]藤原康博《Church on Cloud》2009年 ©Yasuhiro Fujiwara, Thyssen-Bornemisza Art Contemporary Collection, photo: Kenryu Tanaka, Courtesy of MORI YU GALLERY

展示作品の多くは新作となり、それぞれの出品作家が、これまでの創作の軌跡を引き継ぎながら、発展させた作品、新しい展開を試みた作品を出品する。

国立国際美術館だけの特別展のため、それぞれの作家が同展のために考えた、展示空間への作品配置も見どころ。その展示空間は「感覚の実験室」とも受け取ることができ、鑑賞者である私たちは、感覚的に楽しんだり、身体を動かしながら感じたり、体験できるようになっている。

[参考図版]今村源《きせい・キノコ―2019》2019年(リボーンアート・フェスティバル 2019 での展示風景) ©Hajime Imamura

美術が「視覚」の可能性の限界を押し広げようとした時代、「美術=視覚芸術(ビジュアルアート)」という捉え方は、すでに過去のものかもしれない。

いまの美術、つまり現代美術は、私たちのあらゆる感覚器官を稼働させることによって遭遇する、新しい世界のイメージを開拓する行為である、と言えるだろう。

そう考えるとき同展は、現代美術の多様性の一端を垣間見ることができるだけでなく、混沌とする現代社会の状況や様相、私たちの生き方や私たち自身を反映しているようだ。あなたの感覚を研ぎ澄ませて、感じてほしい。

開催概要

『感覚の領域 今、「経験する」ということ』
会場:国立国際美術館 地下3階展示室
時間:10:00~17:00、金土は20:00(入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜(3月21日、5月2日は開館)、3月22日(火)
料金:一般1,200円、大学700円