幼児に早い時期から教えたいものの一つが、文字。ひらがなはまず最初の一歩。子どもにはいつ頃から教えはじめるのがいいのでしょうか。
また、ひらがなを教えるにしても、いろんな絵本や知育玩具、ドリルなどがあって、どれを使えばいいか、迷いますよね。
そこで今回は、一つのヒントをご紹介。今回は、発達心理学を学び、数々の幼児教育現場で教えてきた経験をもとに、英語とSTEAM教育をかけあわせたスクールを立ち上げ運営している、幼児に関する文字の読み書きに詳しい小川みかさんにお話を伺いました。
文字はいつから教えはじめればいい?
文字は、何歳頃から教えはじめるのがおすすめなのでしょうか。
小川さんは、教育の現場で実際に3歳までの子どもたちの文字の読み書きのサポートをしてきた経験や、早期教育を受けている子どもたちの読み書きの進捗を見てきた経験から、次のように話します。
小川みかさん(以下、小川)「身体の発達過程・現場経験双方からみても、『文字に興味を示したら』が良いはじめどきだと考えます。
ヒトは胎内で約十か月間、外の世界で生きるための知的能力の土台をつくり生まれてくるといわれています。五感の発達に関しては生まれる前から機能しはじめますが、『触覚』と『聴覚』の感覚器は胎内でほぼ完成され、後に様々な感覚を経験しそれぞれの持っている能力が発達していきます。
また『視覚』は生後も発達し続け、完成するのは比較的遅めといわれています。その点を踏まえて『読み』『書き』を教えるのに良い時期を考えてみたいと思います」
1.「読み」を教えるおすすめの時期
小川「今回は『文字の一つ一つを把握できるようになるスタート地点』を前提にお話を進めたいと思います。赤ちゃんの目は生まれた直後はぼんやりとしていますが、1歳頃には30cmぐらいまではよく見えるようになるといわれていますので、その時期からのスタートは有効ではないかと考えています。
ですが、子どもが興味を持った場合学び・習得スピードは早くなるため、時期を決めず興味をもったら徐々に子どものペースで進めていけばいいと思います。
ただ早くはじめれば早く習得するわけでもないため、途中で興味を失ってしまうような、例えば、強制的にやらせるといったサポートをしてしまわないようご注意ください。
2歳頃から文字に興味を持ち、3歳になる前にはひらがなの1文字1文字が読めるようになり、3歳になったときにはもう絵本の文字を読めるようになったという子どももいます。
一方で、生後6か月から早く取り組んだものの、3歳になってもひらがなの文字を読まない子どもも見てきました。子どもの興味を一番大切にしなくてはなりません。焦りは禁物です」
2.「書き」を教えるおすすめの時期
小川「鉛筆をしっかり持てる時期には個人差がありますが、おおよそ4歳になると身体的な発達から、多くの子は、しっかり鉛筆を持てるようになってくるといわれます。読み書きの『書き』を教えるのは、その時期からでもいいと思います。
でも、最初からいきなり『文字書いてみようね!』と取り組むのはハードルが高いため、事前準備としてクレヨンでの殴り書き、曲線やジグザグ線・直線やなぞり書きなどの『書くお遊び』を通して、なにかを書くことの面白さを一緒に共有しておくと、取り掛かりはスムーズでしょう」
ひらがなと漢字について
ひらがなと漢字はどのように分けて教えればいいのでしょうか。
小川「ひらがなと漢字を分ける必要はないと考えます。漢字のほうが一文字一文字に意味が込められていることや、象形文字などもあるため、絵のようなイメージで理解しやすいものが多く、『読む』ことに関しては比較的取り組みやすいかもしれません。
ですが、『書く』ことに関しては身体的な点から考えると習得は『読む』より遅めかもしれません。
子どもたちの興味や好奇心が成長を加速させます。文字への興味のサインを見逃さないよう、常日頃から子どもを注意深く観察することが大切です」