子どもへの「絵本の読み聞かせ」、どんな風にしていますか?

実は、ちょっとした親の工夫で、子どもの成長に大きな良い影響を与えることができるというのです。

しかも、親のイライラや不安がなくなることも。それには、特別なことは一切必要なし! いつもの絵本の読み方をちょっと変えるだけでOKです。

今回は、一般財団法人「絵本未来 創造機構」代表理事の仲宗根敦子さんに、著書『子どもの脳と心がぐんぐん育つ 絵本の読み方 選び方』の内容をもとに、脳と心を育てる絵本の読み聞かせ方を伺いました。

仲宗根さんは、フルタイム勤務のシングルマザーとして、時間が限られている中での息子2人の育児に悩む中、絵本の読み聞かせの効果を自ら発見。その内容を体系化しています。果たしてその絵本の読み聞かせ術とは?

これはやっちゃダメ!? 逆効果な「絵本の読み聞かせ」

仲宗根さんによると、絵本の読み聞かせは、子どもの脳と心を育てる可能性が秘められているのだそう。

うまく行うことで、IQ(知能指数)とEQ(心の知能指数)が自然に育ち、親と子どもの自己肯定感も上がるといいます。

けれど、次のような3つの読み聞かせ方では、その効果が得られなくなることもあるというのです。

1.ゆっくり読む

仲宗根敦子さん(以下、仲宗根)「絵本は右脳に効く最強のツールです。脳神経外科医の先生によると、6歳までの子どもは右脳が優位で、言語で理解するよりも先に、親の表情を見て感情を読み取っていたり、現実と物語の境目があいまいだったりします。

右脳は情報処理範囲が広いので、ゆっくり読むことは、子どもが絵本に集中しない要因となってしまいます」

2.声色を変える

仲宗根「子どもは大人以上に見る、聞く、感じるなどの感覚が鋭敏なので、あえて声色を変えなくても物語を楽しめます。大人が声色を変えたり、演技をすると、親の価値観をそのまま受け取ってしまいます。

親は道徳心などを学んで欲しいと思って『この場面で感動して欲しいなぁ』と思うシーンで、感情をたっぷりと入れて声色を変えて読みがちです。しかし、子どもの感動ポイントは親と同じとは限りません。

さらに、読み聞かせは毎日のことなので、毎回声色を変えたり、感情移入すると親自身も疲れてしまいます」

3.毎回、内容を理解しているかどうかを聞く

仲宗根「読んでいる途中や読み聞かせの後に、内容を理解しているかどうかを聞くのはできるだけ避けたいものです。

子どもは絵本の物語の世界観を疑似体験しながら、自分自身の感情や他人の感情、その背景にあるものをイメージしたり、感じ取ることができるようになります。

そんな絵本の世界観を味わっている最中に、『りんごはいくつあった?』『なぜ、主人公は○○と思ったと思う?』など、質問をされると、その妨げになってしまいます。

また、毎回読み終わった後に質問すると、子どもは読み終わった後に親の意図にあったように答えなくてはいけないと思うようになり、絵本の時間も『何を聞かれるんだろう?』と思考が先になり、絵本から自由な発想する楽しみを奪ってしまう可能性があります。

子どもは楽しいと思えることに集中し、興味を示します。そのうち、子どもからの質問や感想を言ってくるようになります」