これは『王家の紋章』のときから思っていたことですが、もしお客さんが「この日しか行けない」という日のキャストが宮澤佐江だったとしても、「佐江ちゃんか…」って、観るのをためらわれないように、板の上ではいなきゃいけないんだって。
--「ミュージカルの舞台に立ちたい」と、ひたすらレッスンを重ねてきた方たちが発するパワーはやはりすごいのでしょうね。
私がアンサンブルという言葉を好きじゃないのは、(岸谷)五朗さんが「地球ゴージャスにアンサンブルはいない」と言われていたのが理由なんです。五朗さんは「舞台に立つメンバーは1人ひとりがすべてキャスト」という考えを持っている方なんです。(第46回)
私はその影響を受けて育ってきたので、アンサンブルという言葉を使いたくないんですが、ミュージカルはその方たちがいないと成り立たない。
その方たちは、私よりもお芝居ができて歌も歌えてダンスも踊れるのに、その方たちの真ん中にいなきゃいけないのが自分だったりすると、胸が苦しくなるんです。
“自分よりできていないのに、何でこの子真ん中にいるんだろう”っていう悔しい思いを、彼ら彼女らはしているだろうなって思うと…。
--「真ん中に立つ人は、真ん中に立つ人が背負わなければいけない重圧がある」と、佐江ちゃんのマネージャーさんが話してくれたことがあります。「逆に、アンサンブルと言われる方々は、その重圧はないけれどまた違う苦しみがある。だから、苦しみのベクトルが違うんです」と。
そうなのかな。一緒じゃないのか。。
--それぞれの醍醐味もあれば苦しみもあって、その質は全く違うものなのかもしれないですね。
そうか…、そう思ったらそうかもしれない。彼ら彼女らと、こういう話をすることはなかったので、確かにそれはあるかもしれないな。。
--相手が、そういう苦しみを持っているんじゃないかと思いながら、接するのはいいことだと思います。一緒に作り上げる仲間だと思うので、それは絶対に必要だと思います。
そうですよね。「切磋琢磨」ですもんね。うん、うん…、そうだなぁ。。(第107回)
--それぞれが、それぞれの課題を突き詰めたり、乗り越えたりしていくことに意味があって、結果的にそれらが集まって、ひとつのものを作り上げていくのが醍醐味なのかなと思います。
うん、うん。確かに、そうできたら楽しいだろうなぁ。
-- 一般社会で仕事をしている人も、上司は上司なりの苦しみがあるし、部下は部下なりの苦しみがある。それが社長なら、社長の苦しみは社員にはわからないけれど、社長には社長の醍醐味もあったりする。
ミュージカル界に限らず、どこにでもそういうことはあるんですね。誰にでもあることなんだと感じて生きていくか、何も知らず何も感じずに生きていくかで、人への接し方や、自分の在り方、居(い)方はすごく変わってきますよね。
そう思うと、私は今まさに、それを学んでいる最中なんですね。
-
[第59回]宮澤佐江、連載終了に向け9年間を振り返る「撮影では、より自然な私を」&ミュージカル『キングアーサー』出演決定で聞く【3】
連載9年間の最後の取材で、佐江ちゃんがお話してくれた内容を、今回と最終回となる次回でたっぷりお届けしていきます。今回はこれまでの撮影や、今楽しみにしていることについて。情報解禁となった『キングアーサー』に出演を決意したきっかけも聞きました!
-
[第58回]宮澤佐江、連載終了に向け9年間を振り返る「いくつもの壁。ぶつかり、気づいた大切なこと」【2】
2013年にスタートした「ミラチャイ」連載。今回は、佐江ちゃんが9年間の連載期間を通して“自分はここが成長したな”と、思うことを話してくれました。アイドル卒業後、まもなくして立ちはだかった壁を乗り越えながら、次第に気づいたとても大切なこととは?
-
[第57回]宮澤佐江、連載終了に向け9年間を振り返る「今につながる、人との出会いと仕事」【1】
ミラチャイ連載の9年間を振り返る1回目は、今に繋がるお仕事や、人との出会いに焦点をあてていきます。上海で活動できなかった時期を支えてくれた作品『クザリアーナの翼』や、地球ゴージャスさんへの思い。連載終了を発表した経緯についてもお話します。
-
[第56回]宮澤佐江、仕事・プライベートで訪れた旅での"出会い"と"出合い"(島根/小浜島 etc.)&「ミラチャイ☆」連載から大切なお知らせ
今回は、仕事やプライベートで訪れた旅のお話。昨年末に、お仕事で訪れた島根県。「初観戦ですっかりハマってしまった」という、Bリーグの素晴らしさを、自らもバスケ経験のある佐江ちゃんが、熱く語ってくれました。また、「ミラチャイ☆」連載から大切なお知らせがあります。
-
[第55回]宮澤佐江、2022年の新たな決意。「本当の自分って、何なんだろう」の問いから、昨年「良い加減」で生きたその先
2022年は「自分を見つめ直すことをイメージして過ごしたい」と話す佐江ちゃん。人が思う自分と、自分が思う自分。果たして本当の自分とは何者なの? そう考えるきっかけとなった2つの出来事や、自分と繋がる大切な人を思い、新たな決意を語ってくれました。