まだ、叶わないからこそ…

--連載に話を戻すと、以前は作品自体の話はあっても、今、佐江ちゃんが話してくれたような、作品に関わる人たちにまで、話が深く及ぶことはなかったと思うんです。これも、佐江ちゃんが成長してきたことのひとつなのかなと思います。

本当ですか? ありがとうございます。。

--佐江ちゃんの体験が、芸能界だけではなく、皆が生きている社会にも同じような状況があったり、20代、30代に皆が通るような悩みと重なったり。連載後半になるに従って、佐江ちゃんがいる世界と、皆がいる世界がミルフィーユのように重なっていたなと。

取材後に「今日はいい話を聞けました」って、言ってくださったのも嬉しかったです。

--最近では、佐江ちゃんの体験から、もう少し大きなところを感じる話が増えて、その結果、話が抽象的になることもありましたね。でも、質問に対する答えのゴールに、ちゃんと行ってくれるだろうと思うからこそ、抽象的な話も安心して質問できました。(第55回)

フォトギャラリー【本文未掲載分もあります】「ミラチャイ☆」連載 第55回

今日の話は大丈夫ですか? 話が全然、違う方向に行ってませんか!? 軌道修正して、話を『これさえあれば』の答え合わせに戻しましょうか(笑)

--そうですね(笑)。佐江ちゃんが『これさえあれば』で言ったことが、「全部、叶いましたよ!」ではなくて、よかったなとも思っているんです。もちろん、叶った出来事もあると思いますが、3〜5年の短い間で全部が叶ってしまったら…。

それはそれで、気持ちいい! 「これもできた! あれもできた!」って、言いたかったですよ。

--でも、「出来ていない=今後できるかもしれない」という、楽しみにもなりますよね。小さいことは、何かしら叶っていると思うので、「出来た」というラインを、どこに引くかだけだと思うんです。

叶っていたら叶っていたで、絶対に“まだ足りない”と思うんだろうな。“ここじゃないんだよなぁ”って、私の性格上、言ってるだろうなぁ(笑)

--きっと、終わりがないんですよね。

それが幸せなんだと思います。終わりがあるのは、人生の最期でいいです。

2020年撮影

--「ミラチャイ」は、連載という形でずっと長く続けたからこそ“今だったら、あの頃のことは言えるだろう”と、折にふれて振り返りながら話を聞かせてもらえました。連載だからできる「強み」を、存分に発揮させてもらえたと思っています。

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