『四月は君の噓』の楽曲は、僕に勇気を与えてくれた(木村)

撮影/杉映貴子

――木村さんも公式コメント映像で「絶対に世に出なくてはいけない作品」ともおっしゃっていましたね。

木村 僕が「絶対に世に出なくてはいけない」と感じた理由は、この作品の楽曲を歌うのが楽しすぎたからです。学生時代に合唱コンクールで歌った時の感覚とちょっと似ていました。「みんなで歌っている」「ひとつになれている」っていうようなあの感覚です。

もちろん作品の中で公生はひとりになりたい瞬間もあるんですけどね。でも、みんなで歌っている瞬間が楽しすぎて。なかなかこの年齢になってそんなことを味わう機会は少ないので。

もちろん、お客様に元気を与える作品でもありますし、日本を代表するアニメや漫画原作であることも、理由のひとつです。そういういろんな理由で、日本だけに留まることなく、世界に羽ばたいていける作品になると思うので、そんなふうに言いました。

撮影/杉映貴子

――みんなで歌うのが楽しすぎたというのは?

木村 前回の頃は、僕は(公生の言う)「僕なんか」ではないですけど、自分がソロ曲を任されたり歌うことに対して、まだ少し恥ずかしさが残っていたり、「歌が上手い人はいくらでもいるし」と思ったり、まだ「僕の表現はこれなんだ」という確信もなかったり、そういう感情があって。

でも『四月は君の噓』の楽曲は、そんな僕に勇気を与えてくれたんですよ。かをりや椿、渡っていうメンバーが常に背中を押してくれるような感覚を覚えたというか。

そういうところから、「この歌は楽しんで歌えるかもしれない」「ひとりになっても誰かが助けてくれるかもしれない」と思いました。もちろん自分だけで舞台上で闘わなきゃいけない瞬間もあるんですけど、それでも誰かがそっと寄り添ってくれるような、そんな感情を持てたんですよね。

撮影/杉映貴子

――その楽曲たちを聴いた時や歌ってみての感想も聞かせてください。

小関 すごくキャッチーだなと思いました。いろんな方がおっしゃる「ワイルドホーン節」も感じつつ、例えば、コンセプトアルバム(2020年11月発売)の1曲目に収録されている『僕にピアノが聞こえないなら If I Can't Hear The Music』は、楽譜をいただいて、さらって、もうその場で覚えちゃうくらいすんなり入ってくる感じがありました。

「FNS歌謡祭」(’19年)で披露した楽曲を「すごく印象に残ってる」ってその場で歌ってくださる方もいました。そのくらい覚えやすい、歌いたくなる曲で、パワーが詰まっているんだろうなと思います。

――歌うのに苦労するところもありますか?

小関 これからですけど、キーが高いし、心情としても、常に苦悩していたり、常に心の内を叫んでいるから、張り上げて張り上げて、みたいなところは大変そうです。そこはこれから稽古で頑張ります!

木村 僕は、曲を聴いて「キャッチー。ああ楽しそう」、歌ってみて「地獄」、かな(笑)。いや、地獄ってことはないですけど、「こんなの無理だ」ってちょっと思いましたね。ブレス(息継ぎ)が取れなかったりするし。

小関 ああ、たしかに!

木村 一筋縄ではいかない楽曲ばかりだと思いました、その公演がもう目と鼻の先まで近づいていることへの恐怖と楽しみが今はあります。どこまで高校生になって歌えるのかなとかも思いますし。