『ムール ア・ラ ムール』のおすすめパン5つ

「うちの『生食パン』はご飯みたいな食感を愉しめます」と本杉さん

おすすめのパンを本杉さんが5つあげてくれた。

そのなかの「生食パン」(600円/以下すべて税込)、「石臼ショートバゲット」(250円)、「晩柑ノワ」(350円)には酒粕を使っているという。
 

ドーナッツのようなサクサクとした食感が印象的な「晩柑ノワ」

「『晩柑ノワ』には酒粕の特徴が顕著に出ています」

「晩柑ノワ」はバゲットと同じ生地に、晩柑(皮が厚い九州産の柑橘)で作ったピールとくるみを配合。一見硬そうだが、モチモチ感がある。

「石臼ショートバゲット」のようなハード系のパンは、クラスト(皮)が硬いのが一般的。ところが、酒粕を使うことでサクッと噛み切れる食感が得られる。バゲットらしからぬ味わいに加え、少しこげたような色に驚いた。

「酒粕の香りに加え、焼き込んでいるので、こがした醤油のような香りもします」
 

「石臼ショートバゲット」。酒粕を使っているからこそこの色が出るのだそうだ

本杉さんによれば、「石臼ショートバゲット」はそのまま食べるとおいしいそうだ。

「少し香りが強いオリーブオイルを付けたり、バターを塗ってもおいしく食べられます」

同じく酒粕を使った「生食パン」のおいしい食べ方を教えてもらった。

「そのままでもおいしいのですが、トーストするともちっとします。酒粕の香ばしい香りもあるので、和の食材との相性がいいです」

酒粕を練りこむことで3日間ぐらい食感が変わらないのだそうだ。日持ちさせるようにハチミツを配合しているため、そのままでも十分甘味がある。

「ミルクのねじりパン」はモチモチでふんわりしていて、甘みが強い

本杉さんおすすめの「ミルクのねじりパン」(300円)は、ドライイーストを使用。牛乳は静岡産。

「ブリオッシュあんぱん」(250円)は、サクサク感が心地よかった。北海道産小豆に卵を加えることでコクが出て、生クリームを足すことで甘さをおさえている。

国内のパン屋ではまず見かけないものを作っていた。「グリッシーニ」(1本100円)だ。箱に入ったイタリア産は細くて割れやすいものが多いが、本杉さんが焼く「グリッシーニ」は太くて硬く、香ばしかった。

「ローストしたふすまを使っているので、色が濃いです」

割って食べるというよりも口のなかで溶かして食べるような味わいだ。

『ムールア・ラムール』の駐車場で営業する『稲荷山珈琲店』

『ムールア・ラムール』の営業日には、『稲荷山珈琲店』のキッチンカーが店の駐車場で営業している(悪天候の場合、休業も)。

店主の吉田眞一さんが自家焙煎した豆を注文ごとに挽き、ハンドドリップで淹れてくれる。

購入したパンをトレーのままテイクアウトして駐車場へ。『稲荷山珈琲店』のテーブルでアウトドア気分にひたりながら、コーヒー(一律450円/税込)と一緒にパンを食べることができる。豆も購入可能(稲荷山珈琲は移転のため、営業は5月末まで)。

平日でも開店の30分前には行列ができていた

【ムールア・ラムール】
住所/神奈川県伊勢原市板戸645-5
TEL:0463-57-3085
営業/12時〜17時、火曜13時〜16時 定休日/水・木曜
予約可能(来店前日15時まで)

東京五輪開催前の3歳の時、亀戸天神の側にあった田久保精肉店のコロッケと出会い、食に目覚める。以来コロッケの買い食いに明け暮れる人生を謳歌。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』、『自家菜園のあるレストラン』、『一流シェフの味を10分で作る! 男の料理』などの他、『笠原将弘のおやつまみ』の企画・構成を担当。