「3歳までは母親が子育てをするべき」という、いわゆる「3歳児神話」はいまだに社会に根強く残る考えです。

無視できないママも多くいますし、日中子どもと一緒にいられないワーキングママなら、余計にモヤモヤするのではないでしょうか。

たしかに生まれてから3歳までは、子どもの人格形成の土台ともなる大切な時期です。

今回は、村田真由美さんの著書「25年間で2000人の子どもたちから学んだ 3歳までの子育てで本当に大切なこと30」を参考に、子どもが3歳になるまでに身につけさせたいいくつかのポイントを紹介します。

なぜ「3歳まで」にこだわるの?

生まれてから3歳までは、一日ごとにできることが増えるほど、変化の激しい時期です。親にとっては気の休まるひまもない期間で、ときには「早く大きくなって!」と叫びたくなることもあるでしょう。

ですが、この時期にどう育てられたかが子どものその後の人生に影響を与えることは、もう少し真剣にとられてもいいかもしれません。

育児書のロングセラー「子どもへのまなざし」には、長い子育てのなかで0~3歳までは家にたとえると土台作りの期間にあたると書いてあります。

基礎がしっかりしていない状態で家を建てても、いつか倒れてしまいますよね。倒れなかったとしても、とても不安定な建物になってしまいます。

たとえを人間に戻します。不安定な人間は自分や他人が信じられず、つねに不安をかかえるようになってしまいます。大人になってから自己肯定感の低さに悩む人も少なくありません。

3歳を過ぎたら手遅れということは決してありませんが、早期教育や効率のいい子育てを考える前に知っておくといいことが、3歳までの子どもへの接し方なのです。

3歳までの子育てで本当に大切な「生きる力」って?

子育てというと、つい早期教育に目が向いてしまうママ・パパもいると思いますが、英語や読み書きよりも大切なことがあると村田さんは言います。

3歳までの子育てで本当に大切なのは勉強ではなく、五感を使った豊富な実体験なのです。

そうした経験を通して、相手を思いやる気持ち、がんばろうという意欲、力を合わせてやりとげる協調性、他人や集団の中で養われる社会性などを身につけることができます。

これらの力は「生きる力」と呼ばれています。出典(「3歳までの子育てで本当に大切なこと30」村田真由美著 JMAM刊)

「生きる力」は非認知能力と言われたりもしますが、数値化できる力ではないため、わかりにくいと感じる人も多いようです。わが子に生きる力が備わってきているかどうかわかるには、わが子をよく「観察」する以外に方法はありません。

五感を使った遊びを通すことで「この子は意外と指先が器用なのね」「水で遊んだのは初めてなのに、こわくないんだ!」など、わが子の新しい面が発見できるでしょう。

そこから「だったらこの遊びもいけるかも」「トイレトレーニングのタイミングかな?」など「推測」して「実践」に進む、トライアル&エラーの連続が子育てといえます。

間違ってもいいのです。また別の方法を試せばいいだけのことですから。

子育てには正解がないのに正解を求めてしまうことが、悲劇の始まりです。逆にいえば、子どもに向いた子育てが、長い目でみれば正解になっていくともいえます。