鎌倉のために生きた人とイギリスのために生きた人
――図らずも大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を経ての本作出演となりました。大河での経験が、この舞台に活かされることはありそうですか?
映像と演劇での違いがあるので、大河の経験が今回に活かされることはほぼほぼないと思います(笑)。ただ2作とも同じような時代、12世紀の物語なんですよね。
あのころイギリスではこういうことが起きていて、日本ではああいうことが起きていた。つまりあの時代の人間はみんな野蛮だったんだなと(笑)。
――あっちでも裏切り、こっちでも裏切り、だったわけですね(笑)。
そうそう、あっちでもこっちでも(笑)。でもこの私生児は意外と裏切らないんですよね。わりと忠実に、イギリスのために生きようとする。つまり僕は、鎌倉のために生きた人と、イギリスのために生きた人を演じることになったわけです。
――なるほど。鎌倉のために生きた人・北条義時に関しては1年5か月にもわたり演じられたわけですが、その経験は役者・小栗旬にどんな成長をもたらしてくれたと思いますか?
正直、終わってからまだ少ししか経っていないので、自分の中でこんなことが血となり肉となり、みたいなことを実感するにはまだ至っていません。
ただあれだけの期間、いろいろな方たちとお芝居をしてきて、最後を迎えられたというところで言うと、ある意味でのタフさは身についたのではないかと思います。
――本作の初日には40歳の誕生日を迎えられます。40代に向けた展望などはありますか?
まだまったくないですね。とりあえずこの『ジョン王』が終わったらしばらく休みたいなってことだけで(笑)。ただここからは新しい、第2の人生みたいなものを考えていく時かなとは思っています。
本当は大河が終わったらゆっくり考えたいなと思っていたんですが、そんな間もなくこの『ジョン王』が始まってしまいましたから。これが終わったら、改めて自分の人生を考えていくタイミングかなと。
今のところお話はいただいていても、一切なにもお仕事を入れていない状態なので、しばらくは考える時間にしたいと思っています。
――それだけにこの『ジョン王』を楽しみにされているお客様も多いかと思います。本作から、どういった時間をお届け出来たらと思いますか?
なんか変な芝居だとは思うんですよね(笑)。これがシェイクスピアなのかと言われると、ちょっと不思議な感じがするというか。ただこういう特殊な環境に置かれてしまった時に平静を保つ難しさであったり、自分というものを保つ難しさ。そういったものが渦巻いている空間になるんじゃないかなと。
それがある意味観に来たお客さんたちにとって、「あれ、なんだったんだろう?」みたいな感覚になるんじゃないかと思っていて。そしてそれはひとつ、良い演劇体験になると思うので、そういったものが作れるようしっかり努めたいと思います。
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<公演情報>
彩の国シェイクスピア・シリーズ『ジョン王』
【東京公演】
2022年12月26日(月) ~2023年1月22日(日)
会場:Bunkamuraシアターコクーン
【埼玉公演】
2023年2月17日(金 )~2023年2月24日(金)
会場:埼玉会館 大ホール