焼餃子が続いたので、「酸菜水餃子」をお願いした。

一般的な水餃子は豚肉と白菜か、キャベツで作る。この店の白菜水餃子は、白菜の漬物で作っているので若干酸味があり、なかなかいい塩梅。皮がプリプリ。タレをつけなくてもそのままで十分旨い。

「鶏のから揚げも注文できます。食べてみますか」とハオさんにすすめられた。

断る理由がない。というか、この店の鶏のから揚げは、焼餃子よりも旨いかも。黒胡椒がきいていて、かなりスパイシー。ビールと合いそうだ。

揚げ物が続くが、揚げ餃子も食べたくなった。「『もちもち揚げ餃子』をお願いします」。

もちもちといっても餅が入っているわけではなかった。やや厚く伸ばした皮を揚げることで、もちもちとした歯ごたえを愉しめる。

「この餃子は、酢と黒胡椒で食べてみてください」とハオさん。酢で食べた方が、揚げ餃子をさっぱと味わえる。

30年前の12月、筆者は大連駅前の食堂で水餃子を頼んだことがある。お湯が入った丼の中に水餃子が30個浮いていた。まだ若かったとはいえ、同じ味の水餃子を30個も平らげることができなかった。飽きてしまったのだ。どんなに旨くても同じ餃子を30個も食べるのは厳しい。

この店では3年前のオープンと同時に、餃子の食べ放題を始めた。毎日食べに来てもらっても飽きないオリジナル餃子を提供しようと考えたのだ。とはいえ数回足を運ばなければ、50種類の餃子を制覇するのは難しいはずだ。

食べ放題は2名から注文できる。複数人で出かけて、いろいろな餃子をシェアしたい。でも、今回は取材だったこともあり、1名でお願いした。おかげでけっこうな量をひとりで平らげることができた。

そろそろお腹がいっぱいになったので、最後にデザートが食べたくなった。

「杏仁豆腐だけは出しなくなかったので、餃子をひと工夫したデザートを考えました」

ひとつが「バナナチョコ餃子」だ。もうひとつ気になったデザート餃子があったので、それを食べ放題の締めに選んだ。

「お待たせしました。『バタあんこ揚げ餃子』です。黒蜜で食べてください」

お好み焼き屋で、あんこ巻を食べたことがあるが、あんこが入った餃子は人生初体験。あんこもいいけど、チョコもおいしいかも。

過去に35種類の餃子を平らげた人がいるそうだ。飲み放題もつけたので、酒もガンガン飲んで帰っていった。女性5人で食べに来たひとりだそうだ。

今回、1人だったこともあり、餃子を27個と、鶏のから揚げを3個完食。女性に負けるようでは、まだまだ修業が足りません。次回はさらなる高みをめざそうと心に誓いました。

【餃餃者】
住所/神奈川県川崎市川崎区貝塚1-4-18
電044-211-1288
営業/11:30〜14:00(土日祝〜15:00)、17:00〜23:00
定休日なし
※食べ放題は2時間。アルコール飲み放題はプラス500円。

東京五輪開催前の3歳の時、亀戸天神の側にあった田久保精肉店のコロッケと出会い、食に目覚める。以来コロッケの買い食いに明け暮れる人生を謳歌。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』、『自家菜園のあるレストラン』、『一流シェフの味を10分で作る! 男の料理』などの他、『笠原将弘のおやつまみ』の企画・構成を担当。