「昭和32年の創業以来、ラードで揚げてきました」

肉屋ではない青木屋が、なぜラードを使うのか。青木屋2代目の青木健志さんに尋ねた。

「昭和32(1957)年の創業以来ラードを使っています。他の油を使ったことがないので比較できませんが、ラードのほうがカラッと揚がる気がします。やっぱり揚げ物にはラードが一番です」

むかし荒川区内にある有名な商店街でコロッケを買い食いしたことがある。肉屋を数軒はしごしたのだが、どの店のコロッケもラードの香りがしなかった。

ラードを使わない肉屋が増えているなかで、肉屋ではない青木屋がラードでコロッケを揚げていることは、ある意味奇跡かもしれない。

肉屋であればイカフライやアジフライなども揚げているが、青木屋が作っているのはコロッケ、ハムカツ、メンチカツ、トンカツのみ。つまりメニューは、「コロッケパン」、「メンチパン」、「ハムカツパン」、「とんかつパン」の4種類。

注文すると揚げたての惣菜をコッペパンにはさみ、ソースをかけたものをビニール袋に入れて渡してくれる。

コロッケを2個はさんだコロッケパンは1本330円。メンチカを2個はさんだメンチパンは1本380円。ハムカツを2枚はさんだハムカツパンは1本330円。トンカツを1枚はさんだとんかつパンは1本380円。

「諸物価高騰もあり、昨年30円値上げさせていただきました」

値上げした理由を心苦しそうに語ってくれたが、けっして高くないし、手頃な価格だと思う。

家族3人と従業員で手作りしています

4種類の惣菜パンをすべて購入。揚げたてを即いただいたが、実食レポの前に、惣菜パンを作っている青木屋の厨房を紹介しよう。

厨房では4人の女性が仕事をしていた。向かって一番右が奥様の智子さん。コロッケなどのタネをバッター液と呼ばれる小麦粉、鶏卵、水などを加えた生地をくぐらせた後、パン粉を付ける。

智子さんが準備した惣菜を、中華鍋で揚げているのが娘の智美さん。智美さん左隣の女性が、揚がったばかりの惣菜をコッペパンにはさみ、ソースをかけて袋に詰めていた。

一番左の方が接客係だ。4人が連携プレーで惣菜パンを作り、客に手渡しているのだった。

このとき、ご主人の青木さんは、厨房の裏でソースを別の容器に充填する、裏方に徹していた。