小栗旬:太宰治役コメント

お話を頂いたのはずいぶん前のことだったと認識しております。

悩みました。

この文豪を自分を通して産み出すことが出来るのだろうか。

自分がこの人生を生きることは出来るのだろうか。

しかし、監督から僕でなければ、というお言葉を頂き、脚本に魅了され、決断いたしました。

今はただただ、最高の孤独とは一体どこに存在しているのか。手に入るものなのか。そんなことを日々感じながら、一歩一歩、太宰に寄り添いながら過ごしております。

私という人間から見えてくる太宰治という凄絶な人生を駆け抜けた一人の文豪の足跡が皆様の心に刻まれることを祈り、作り上げていければと思っております。

お楽しみに。

監督:蜷川実花

太宰治本人の物語を作りたい。そう思いついた時からこの役を出来るのは絶対に小栗旬しかいないと思っていました。スターである彼にしか見ることの出来ない景色、トップを走り続けているからこそ抱える孤独、誰もまだ見たことのない小栗旬。連日の撮影で鳥肌が立つことが何度もありました。魂を賭けた芝居に毎日震えています。これをやるための今までの人生だね、と2人で話しています。ご期待下さい。

プロデューサー:池田史嗣

この作品は小説の映画化ではなく、実話を元にしたフィクションとして、文学界のスーパースター・太宰治の衝撃的な人生と彼の遺作であるあの傑作小説、「人間失格」の誕生秘話を描くオリジナル企画です。

謎に満ちた不世出の天才に迫ることがどれだけ難しいことか。

挑む以上、逃げたりごまかしたりしてはいけない。

その覚悟と責任感を持って長い時間を費やして企画を練り上げ、徹底的にリサーチを重ね、前に『紙の月』でご一緒した脚本家、早船歌江子さんが3年かけて素晴らしい脚本を書き上げてくれました。

太宰治を演じるのは、当代随一のトップスター・小栗旬。

意外だと思われるかもしれませんが、これ以上の配役はないと確信しています。

求めたのは“演じる”だけではなくご自身を投影して役を“生きて”もらうこと。

その願いに真摯に応えてくれた小栗さんは万全の役作りと大幅な減量を経て今、どうしようもなく純粋で、色気があって、残酷なまでに魅力的な男として生きてくれています。

撮影にはカンヌ映画祭を制した『万引き家族』の近藤龍人さんを迎え、最精鋭のスタッフが集った現場では、鬼気迫る演技合戦が繰り広げられています。

その中心にいる蜷川実花監督の凛とした佇まい、時にお父様である故・蜷川幸雄さんが憑依したのではないか、と感じることがあります。

監督も主演も、人生をかけて挑む作品。とんでもない映画ができそうな気がしています。

どうぞご期待くださいませ。