ADHDママにオススメ対処方法とは?
最後にいくつか、中島さんに教わったADHDママの生活に取り入れられる対処方法をご紹介します。
デジタル時計よりアナログ時計、カードより現金で!
ADHDタイプの人は、デジタル時計よりアナログ時計がよくて、クレジットカードより現金がいいのだそうです。
どういうことかというと、時間とか数字といったものを視覚や重量で感じられないと、体感しにくいからなんだとか。
遅刻が多くなるのも、デジタル時計では時間の差し迫った感覚がわからないためかもしれません。お金に関しては、請求が来てから青くなるのを避けるためにも、ぜひ現金払いの習慣をつけたいものです。
手帳はバーティカルなものを
ADHDママが手帳を持つなら、情報を一元化できる、1日を細かく区切ったバーティカルのものがおすすめだそう。
視覚でみてイメージがわきやすい工夫としては、イラストを入れたり、シールを貼ったりなど、いろいろできそうですね。
また、TO DOリストを達成するために、ひとつの作業をさらにいくつかの「スモールステップ」に分ける習慣をつけましょう。
それぞれのステップをする日にちと時間を手帳に書き込んで、決めてしまえば、あとはそれを実行するだけ。「いつかやること」ではなく、「予定として確定させてしまうこと」が大事だそうです。
まとめ
ADHDに対して正しく知ることで、たとえ軽度であってもADHDの傾向がみられるママには、ずいぶん子育てが楽になるのではないかと思いました。
たとえば、ついすぐにSNSを覗いてしまうのは、ADHD(タイプを含む、以下略)の人に見られる行動のひとつです。これは、インタビューの中に出てきた「報酬遅延の障害」の表れなのだとか。
このことを知れば、“またスマホばかり見てしまった”と後悔するよりも、子どもといる時は、スマホの電源を切る時間をつくるなど、具体的な解決案が出てきますよね。
ちゃんとできたら自分にごほうびを設定するのも効果的ですが、達成感、成功体験そのものが報酬になる習慣をつけることも重要です。
「自分にふさわしい報酬を得られる環境」は人それぞれ。自分らしい子育てとは、その環境でこそできるのかもしれませんね。
【取材協力】中島美鈴さん
1978年生まれ、福岡在住の臨床心理士。専門は認知行動療法。肥前精神医療センター、東京大学大学院総合文化研究科、福岡大学人文学部、福岡県職員相談室などを経て、現在は九州大学大学院人間環境学府にて成人ADHDの集団認知行動療法の研究に携わる。
他に、福岡保護観察所、福岡少年院などで薬物依存や性犯罪者の集団認知行動療法のスーパーヴァイザーを務める。