第2話
「優等生でもないし東大生でもありません。っていうか、大学行ってねえし、俺。俺、高校中退。だから、最終学歴は中卒。どうでもいいだろう、いま自分がどこにいるかなんて。大事なのは、いま自分がこれから何をするか、だろ? そう思わない?」(第2話)
相手側弁護士の桜井(谷原章介)から事務官は司法試験も通っていないと相手にされなかったことに落ち込む麻木。「気にすんなよ、あんなの。司法試験だのなんだの」と言う久利生。が、麻木はイジけついでに「実は優等生だったんでしょ」と聞くが、久利生はサラッと答える。
大事なのはこれから何をなすべきか。実にシンプルな久利生の姿勢がここに。しかし、麻木の耳には久利生が中卒だという事実に衝撃を受け、その言葉は全然入っていなかった(笑)。
第3話
「覚せい剤に手を出す人の動機って大体同じですよね。でも、それがシャレにならないんですよね。確かに初めてかもしれませんし周りの誰にも迷惑かけてないと思いますけど、違いますよ。
(中略)甘く見ないほうがいいですよ。今までもそういう方たちたくさんいらっしゃいましたけど、覚せい剤を断ち切るのってめちゃくちゃ大変なんですよ。強烈に中毒性のある薬物ですし、あなたが思っているように簡単にはやめられないんじゃないですか。あなたはちょっとつまずいたって言ってますけど、あなたは大失敗やらかしてるんですよ。自分は大丈夫だ、すぐに立ち直れるって強がってる場合じゃないんですよ。
初犯ですし反省もされてますから、裁判では執行猶予がつくと思いますけど…でも、お願いします。気ぃゆるめないでください。あなたには心から心配してくれる人たちがたくさんいるんです。その事だけは絶対に忘れちゃダメなんです。お願いします」(第3話)
覚せい剤を手を出して捕まったCAが「早く忘れてやり直したい」と反省の弁を述べる。しかし、自分のしたことを軽く考え忘れようとしている彼女に久利生は釘を刺すように言う。一時的に彼の事務官をすることになった末次は、久利生の取り調べを受けた被疑者はみんな納得して起訴されると。そして「久利生さんはちゃんとガチンコで向き合っている」とも。
末次の話を聞いた田村は担当した事件の被害者遺族に向き合い、事件の概要を話すことを決意する。どんな事件の被疑者に対しても人として向き合う久利生。そのためにも彼は“お出掛け”して時間を掛けても事件のこと、関わった人たちのことを徹底的に調べていくのだろう。
第4話
「でもいいんじゃないの。仕事はちゃんとしてるし。昔の仲間にあんなこと言われても、お前ブレてなかったもんな」(第4話)
取り調べをした男が麻木の昔のヤンキー仲間(麻木は、自分はマイルドヤンキーだったと訂正)だったことから、久利生がお出掛け捜査する中、麻木は昔の仲間たちに会うハメに。元仲間たちに“裏切り者”のように言われ複雑な気持ちになる。
自分は別に正義感とかで検察事務官になったんじゃないという彼女に久利生がサラッと。実に自然に言われた言葉ではあるが、彼が麻木をパートナーとして信頼していることの表れだ。
「まともに生きてねえ奴がまともに生きてる奴非難すんのおかしいだろう! 一番まいっちゃってんのは麻木のほうなんだよ。昔の仲間が犯罪者になってこんなところに来るなんて思ってなかったんだから。仲間裏切ったのお前のほうじゃんか。でも、飛田さんね、もし夕べ麻木がケガでもしてたら、こんなもんじゃ済まなかったですからね」(第4話)
取り調べを受けていた麻木の元ヤン仲間が実は傷害致死事件にも関わっていたことが判明。しかも、事件の共犯者でやはり麻木の元ヤン仲間だった連中は前日麻木を襲撃していた。麻木に捨てゼリフを言った男に、久利生は声を荒げて言い放つ。
麻木の心境をおもんぱかり、男をやり込める久利生に麻木はどれだけ救われたか。久利生の部屋の前で一部始終を聞いていた城西支部のメンバーも痛快な表情を。
第5話
「でも、無理させちゃダメでしょ。いつも通りじゃないと」(第5話)
久しぶりに検事の仕事をすることになった部長の川尻だったが事件を目撃した証人が苦手な子どもだったこともあり証言をとるのに苦戦してしまい、すっかり自信をなくしてしまう。検事を辞めることまで考える川尻を心配し、久利生に助言を求めた麻木に対して彼がボソッとひと言。
麻木は子どもが無理せずいつものように話をできるように城西支部の見学会を設定。そこで川尻が話す言葉に証人である子どもも心を開き証言を。麻木はのちに久利生の言葉が子どものことではなく、川尻のことを言っていたと気付く。ちなみに、この回は川尻が子どもたちに検事のことを説明する言葉も胸に迫るものになっている。
「ただ俺が知りたいのは、貴方がプロとしてプライドを持って誠実に仕事をしたかどうかです。(しばしの間があり)長くなりそうですね。じゃあ、じっくり話を聞かせてください」(第5話)
ゴルフ場の吊り橋崩落事故を担当していた久利生は、麻木が「専門家に聞けばいいじゃないですか」という言葉もに対して、取り調べ相手の答えを理解できなければ話が進められないと橋の構造理論からお勉強を。
いざ取り調べの時、相手の業者の人間は専門用語も理解して返してくる久利生に驚く。相手がプロとして仕事を全うしたかどうか、専門家を相手にしても専門用語を並び立てて言いくるめられることのないようにしておく。
恐らく久利生は最初にかける時間こそ長いかもしれないが、取り調べで追求が始まったら相手はぐうの音も出ず、起訴か不起訴かの結果を出すのは意外と早いのかも?