プログラミングは“おまじない”!?

――文系の人間からすると、プログラミングは“おまじない”のようにも見えますが……。

松林氏:そんなことはないですよ(笑)。確かにおまじないではありますが。

いわゆる「プログラミング」は英数字による命令の羅列ですので、一見ちんぷんかんぷんなのは当然のことだと思います。
でも、プログラミングの仕組みと同じことが、日常のあらゆることで起きているんです。

たとえば夕飯の買い物に行った際、何も考えずに食材をかごに入れることはないですよね。「今月の残りの予算から日割りすると何円で……」と考えるのも、立派なプログラミングなんです。

――そう考えると、お母さん達もプログラミング的思考をしているんですね。では、女性の苦手意識を克服するにはどうしたらよいでしょうか。

松林氏:先ほどの買い物のように「実は日常していることは、プログラミングと親和性がある」というアピールをしていくことでしょうか。

買い物もそうですし、夕食を作る際のレシピや手順を考えることも、生鮮食料品なら賞味期限もあるし、かなり数学的な問題ですね(笑)。

“遊んで終わり”だけでない楽しみ

――「プログラミング教育に男の子と女の子の違いや、性格の適正はあるものでしょうか?」

松林:スクラッチのイベント体験などを見ていても、やはり男女のこだわりの違いは感じます。

女の子は、まず自分のキャラクターを書くことだけに夢中になっていて、それをやらない限り次にいかなかったり。

緻密に作られたプログラムでは、「いかに条件分岐や状態遷移を効率的に作り込むか」が大切ですが、私の娘を含め、女の子はそちらにはあまり興味はない子が多いようです。

その点、男の子の方が効率化に気が付くとどんどんハマりこんでいく可能性があります。わたしはそうでした(笑)。

――先日取材したプログラミング教室でも、初心者の女の子が一音ずつ打ち込んで音楽ゲームを完成させていたのに対し、優秀賞をとっていたベテランの男の子が「音楽ゲームはやってみたいけれど面倒」と言っていたのが印象的でした。

松林氏:性格的なものもあると思います。男性でも、コツコツと積み重ねることに喜びを感じるタイプもいるし、手段は問わずやりたいことをやる人もいます。

エンジニアやプログラマー業界では、「コツコツ型やコレクター型は天才エンジニアにはならない」と言われています(笑)。わたしはコツコツ型なのでダメですが。

あえて言うと、プログラミング言語そのもの、道具そのものに愛をもって押し進めるタイプと、あくまで言語は道具として表現がしたいというタイプは、男女関係なく、思考の違いで分かれてきますね。