現状、待機児童問題で入園先を選べない場合が多いですが、本来であれば保育園は、学校や塾と同じように自分たちの教育方針や我が子の特性を考え、選んで通ってもらうところですよね。
保育園の定員に余裕がある地方自治体では、今でも保育方針や施設状況などを比較検討して、比較的遠方の園に車で送り迎えをして通わせている家庭も少なくありませんし、様々なアクティビティを取り入れている無認可園に通わせるために、あえて毎月高額の月謝を払っているというケースもあります。
保育園に預けるきっかけは親の就労かもしれませんが、預ける目的は「子どもを安心安全かつ健全に育てるため」ではないのでしょうか。
それに、すでにお子さんを保育園に通わせている方はよくご存知だと思いますが、保育園は本当にすばらしい場所です。
毎日、たくさんのお友だちとお散歩や外遊びで身体を動かし、丁寧にバランスよくつくられた給食やおやつを食べ、決まった時間にお昼寝ができる規則正しい生活。
それを毎日、親が提供することは至難の業です。
そう、保育園は親が仕事をするために仕方なく預ける場所ではなく、子どもが子どもらしく健全に過ごすために、なくてはならない場所なのです。
決して「妻が働かなければ子どもを無理矢理保育園に行かせる必要はないのに…」などと後ろめたく感じる必要はありません。
以前もこの連載でボニータさんが言っていましたが、子どもたちは保育園で本当に豊かな経験を積んでいます。
親にとっても、保育園や保育士さんは「一緒に成長を喜んでくれる大切な子育てのパートナー」としてかけがえのない存在であることは言うまでもありません。
子育ては、一段落しない
「保育園がすばらしい場所なのも、保育費を2人の給料で賄うべきなのもわかった。でも給料が安い上に、時短勤務で更に減ったお給料のために周囲に気を遣いながら働くくらいなら、子どもと一緒にいた方がいいのでは?」
「それだったら子育てが一段落してから再就職したほうが…」
そんな声が聞こえてきそうですね。
でも、子育てが一段落するのっていつでしょうか?
幼稚園に入園する時?
小学校に入学する時?
そこから職探しをして、いちから短時間で(幼稚園に入園しても時間は短い)働くの?
子どもが0〜2歳の未満児のうちは特に保育費もかさみますが、その間に諦めずに仕事を続けるかどうかで、生涯年収に大きな差が生まれますそれに丸3年間ましてや6年、10年のブランクは想像以上に大きいものです。
それに、そもそも「子育てが一段落する日」なんて来ません。
幼稚園に入ったら入ったで、小学校に上がったら上がったで、親が目を、手をかけるべき事態は手を変え品を変え、起こります。
そんなこんなでいつの間にか子どもが成人…なんて状況が目に浮かびませんか?
さらに大人は45歳を境に労働市場での市場価値はガクンと下がります。
20代30代で仕事の経験を積まずに40代になることのリスクを、考えてみたことはあるでしょうか。
もしあなたがいま仕事を持っているならば、とにかく絶対に手放さないで。
退職を悩んでいたとしても、形を変えてでも働き続ける方法を模索してほしいと思います。
(文:吉田紫磨子/構成:宮下ひかり「Conobie」)