“記憶にない”というアタマの3曲についても、ハードなダンス過ぎて、「来年からは、もう観られないかも。30代だしね。10年前はOKだった。若くて力もあった…」と遠い目で自虐ネタを。そんな、ほっこりトークから一変、『I'M GOING CRAZY』(日本語)『UNDERSTAND~今さら~』『LALALA』などのミディアムチューンを聴かせると、「いま起きた! これから本気でやるから!」。本気かジョークか……、そんなSE7ENに会場も笑顔が絶えない。
この日は、数曲を歌い終えるごとにトークをはさむ進行。音楽を聴くこととファンと会話を楽しむ“バー”のような感覚。それも距離の近さを感じさせる一端だ。これまでを振り返り、「あっという間。全然、10年の気がしない」と切り出すと、「アメリカに2年、軍隊に2年、日本に来られなかったしね(笑)」とどこまでも正直すぎるSE7EN。そして、『SOMEBODY ELSE』から『PASSION』へと歌い継ぎ、『PASSION』でのコール&レスポンスでは会場中が叫ぶ。10年前と変わらない美しい片手倒立もバッチリ決めて魅せれば、盛り上がらないはずがない。
映像をはさんで披露した『ANGEL (Japanese Ver.)』、そして日本2ndシングル『Style』。“この場所が君のステージ”という歌詞は、SE7ENにふさわしいものだ。「10年前の曲を歌うのも…スゴクね? ずっと10年忘れず、変わらず、応援してくれてありがとうございます」。やさしい眼差しで、何度もファンへの感謝を口にするSE7EN。
「次は休憩タイム」と、客席を着席させて披露するのは、「生まれて初めて歌う曲」。しかし、「(ツアー初日の)名古屋から歌ってるから、生まれてから10回くらい歌ってる曲(笑)」なんて細かくいい直す。記念すべきツアーだが、「新曲が1曲もないから、なんとか新しい曲を歌わなくちゃっ! て選んだ曲です。半分冗談(笑)」と茶目っ気を交えて披露するのは、平井堅の『瞳を閉じて』と中島美嘉の『雪の華』だ。
まぶたを伏せ、言葉に思いをのせるように。他のアーティストの曲も、“SE7EN色”にそめあげて全身全霊で歌い上げる。まさに熱唱だ。『雪の華』では、ロングトーンを力の限り響かせる。声をふるわせる。歌声、その歌う姿も含めて、まるで一遍のドラマ、もしくはミュージカルをみているようだ。会場は静まり返り、もう言葉もない。