医療器具はなぜ“妄想心”をかきたてるのか?
たとえばどんな妄想なのか?
「2014年7月の時の「医療器具展」では丁度、佐世保女子高生殺害事件があったんですよ。遺体が首と左手首が切断されていた、という事件が。医療器具を見た時、その事件を連想された方も多かったですね」
たとえば包丁を見ても猟奇的事件をあまり連想はしない。しかし、医療器具という直接、身体を切るための器具には、血など着いてはいないのに血が着いているような気がする。医療器具を見るだけで痛くもないところに痛みを感じる。この恐怖がどこからくるのだろうか?
医療器具の展示なのにきちんと整理して陳列するのではなく、雑多に並べて展示している。木村は「そうすることで猟奇的な事件などの妄想も膨らむ。そんな展示が出来るのも医療器具そのものが魅力的だからです」と言う。
洗練されたフォルムがフェチ心をくすぐる!
とはいえ、医療器具の魅力はそんな恐怖心をあおるから、というだけではない。医学の進歩とともにより発達した医療器具には機能美あふれる洗礼されたフォルムがある、というのも大きな魅力だ。
また、医療器具フェチならば、尖った先端の器具、無機質なアルミの容器、古びた茶色のビンなどの冷たい質感にもゾクゾクと来るだろう。また、医療では欠かせないゴム手袋や白衣、手術服、さらに包帯、眼帯といったアイテムもフェチ心をくすぐる。
医療の世界がある種の非日常的な世界だから、そこにホラー的なものとフェテッシュ的なものを観るものへ誘うのに違いない。
新宿座はサブカル、アングラ系の展示が多い。来年もよりフェテッシュな方向に進んでいく予定なのだという。
新宿座というギャラリーそのものが今後、とても楽しみなスペースではある。
▼▼骸骨、内臓…まるでホラーな「医療器具展」パート1▼▼