これぞアート! 1年かかった大作
3つ目の展示は、「ゔぃーなすたんじょう ふぁっきんじゃぱん2015」。霜焼きトマトさんの学生時代の恩師である児山一成さんの作品です。着想から制作までの間が1年かかっているとのこと!
制作のきっかけは、「最近の日本はちょっといけすかないな」という思いから。なぜいけすかないのかを考えた時に、言葉を使った約束・文化を壊していっている不安感が漂っているからだと考えたそうです。
「今年は戦後70年。自分は今年35歳で、自分にとっても節目の年だったので、今回は戦争や日本について作ろうと決めた。日本や文化を象徴する平仮名を使おうということが最初にありました。」と、児山さんは教えてくれた。
「壁にある「ん」は、文字の最後である「ん」(文化)が無くなってしまうかもしれないということで今無くなりかけているもの(現在)、手前で転がっている平仮名は戦前の文字(過去)、上から釣られている平仮名は自分達が今後作っていく文化(未来)を表現しています。
そして、ギリシャ神話のヴィーナス誕生のストーリーを日本の今の状態を掛け合わせました。ギリシャ神話の中のヴィーナスは美と再生の女神だったが、僕たちがヴィーナスを生むとしたら女性性(調和)としてのヴィーナスを生み出すべきではないかと思います。
これからの21世紀は、日本に対する憎しみが反転することで新たなヴィーナス(女性性)を生み出せるのではないかと考えて、この作品を作りました。」
「反転」ということから、作品の随所に鏡張りやプラスティックの反射が使われている。赤い手は35本作られているが、鏡張りになっており全部で70本ある様に見えます。また、下の造形は上から見ると、日本の国旗を模しています。
細部までこだわり抜かれて作られたこの作品。過去・現在・未来の日本、そして日本の行く先をとても考えさせられました。最初の印象と、お話をお伺いした後では見方が全く変わる刺激的な作品でした。
デザインや印刷、細部までのこだわり
4つ目の展示は、今回のグループ展の宣伝紙媒体。岡本デザイン室の岡本洋平さんの作品です。
デザインや印刷が、女性から見てとても可愛い!
会場内では額縁に入れられていましたが、帰りに頂いたので確認したところ、紙質にもこだわりを感じるものでした。
青いライトの中、光る三つ目の女性
5つ目の展示は、「嫁入り」。三つ目の人をずっと描き続けている、女性画家の三ツ井優香さんの作品です。
パッと見で青色に見えるライトで、作品を上と下から照らしています。
そして、作品には蛍光塗料が2色使われているため、暗闇の中で光ります。(この日は人が多かったので出来ませんでしたが……。)
今回の作品のモチーフは「キツネの嫁入り」。この作品では「三つ目の嫁入り」となっており、「三つ目」と「キツネ」がダジャレとしてかけられているそうです。