マラソンブームでランナー人口が増えている日本。しかし、その多くはレース思考が強いと言います。つまり、レースを目標として日々トレーニングに取り組んでいるということ。

そんな中、“ランニング”に新たな楽しみ方を提唱してくれそうな書籍が201510月に出版されました。それが、『日本百走道』(セブン&アイ出版)。著者である外 須美夫氏に伺ったお話を交えつつ、その魅力をご紹介しましょう。

見知らぬ地を走るという楽しさ

『日本百走道』は上巻・下巻に分かれており、それぞれに西日本・東日本のランニングコースが計100箇所も紹介されています。驚きなのが、すべて著者の外氏が実際に走り、写真を撮って完成した本であるということでしょう。

3年かけて完成したという本著。47都道府県を走り回ると考えれば、それでも「早いな」と感じるのではないでしょうか。

「仕事柄、学会などで頻繁に出張があります。そのため、企画が決まってから、出張のたびにコースを探して走りました。」

九州大学大学院医学研究院で、麻酔・蘇生学教授を務める外氏。しかし47都道府県すべて出張があるとは限らず、ときには近隣県へ足を伸ばすことも。まさにこの著書では、“出張先を走る”ことを推奨しています。

「自然や歴史的建造物、あるいは文学者の足跡など。見知らぬ地だからこそ、そうした発見に喜びがあるんです。」

確かに多くの人々にとって、自身の住む日本でも、“行ったことのない場所”は山程あるはず。地図を調べ、訪れてみたい場所を繋いでコースを作る。これは、ランナーにとって出張を楽しくしてくれそうです。