子どもが欲しいとは思わなかった
自分が、子どもが苦手、と思うようになったのは就職した頃からでしょうか。
今でも強烈に覚えているのは、20代前半、よく遊んでいた友達の子どもに延々と自作の絵本を読み聞かせられ、それが日本語のはずなのに「ヤッベェ…何言ってるのか全くわからない…」と困惑した時の衝撃と、友達から生まれたての子どもを「抱いてやって〜」と無邪気に渡された時の、赤子のなんとも言えない頼りなさ。
カワイイと感じる前に「?」が頭上を渦巻いたり、その儚さに恐れおののく方が先でした。
しかも、子どもの頃に飼った小動物(モルモット・ウサギ)は、大事に大事にお世話をしたのにあっという間に命を落とし、比較的長生きしてくれたリクガメもうまく冬眠させてやれずに死なせてしまい、犬や猫は未体験、という経験値で、こんなに頼りなく、言葉も通じぬ人間の赤ちゃんを育てるなんて絶対無理! と思っていました。
今思えば、未経験の妊娠・出産・育児に対する“食わず嫌い”ならぬ“やらずビビり”だったなぁとしみじみ思います。
子どもをつくったら、途中下車は絶対に許されないというプレッシャー、盛大に取り上げられていた“産後クライシス”という夫婦の危機など、とにかく“育児はものっすごい大変”というキーワードしか見出せなかったのも、子作りに踏み込めなかった要因かもしれません。
仕事が好き、酒も好き、多趣味な私には、正直“大変な育児”が足枷のようにしか感じられなかったし、「なんで私はダンナの子どもが欲しいって思えないんだろう?」と、自分が生物的に欠陥品なんじゃないか、と泣けてくることもありました。
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