店先のテーブルで焼肉に興じる人びと。立ち昇る煙越しに、弾んだ会話が聞こえてくる。
焼肉・ホルモン屋が軒を連ねる、横浜は野毛界隈を探訪する。
超ホルモン
炎のなか乱舞する名物「一本ホルモン」に本当の肉の旨さをみた
一本ホルモン 999円(税別)
「超ホルモン」の名物メニュー。これを食べてホルモンに目覚めた女子も多いとか。
網ごとカルビ 1580円(税別)
網を覆い隠すほど大きなカルビ。肉好きの心くすぐるメニューが揃う。
主な客層 20~50代男女
エプロン あり
焼き方 ガス
扉を開けると、そこには「野毛」という町を圧縮したかのような風景が広がっていた。野毛小路の中ほどにある「野毛たべもの横丁」。建物内を1本の道が貫き、左右に飲食店が並ぶ。立ち喰い寿司、串カツ、焼き鳥、居酒屋、スナック……。のんべえには堪らない布陣だが、その一角にあるのが「超ホルモン」だ。
店長・大野善樹さんが「この辺で出すのはウチぐらい」と胸を張る一品は、50㎝超えのマルチョウを豪快に焼く「一本ホルモン」。マルチョウといえば脂の塊、素人には扱いが難しいとあって店長が手ずから焼いてくれる。ジュワッと脂が弾けた瞬間、ボワッと立ち昇る炎。手練れのトングが指揮する炎のダンスのなか、身をくねらせ、ぷっくりと膨らんでいくホルモン。その味わいは、まさに至福。
「ウチで扱うのは国産の新鮮な牛ホルモンのみ。クセのない、肉本来の旨みが詰まった味わいは女性客にも好評です」
肉好きが嵩じて現在の職に就いたというだけに、「肉のおいしさを知ってほしい」という思いは深い。この店に来たらぜひ、絶妙なトングさばきで焼かれる「一本ホルモン」を堪能してほしい。
横浜市中区野毛町2-74-1たべもの横丁 045(315)6563 17:00~翌1:00、土・日曜16:00~翌1:00 不定休 21席 喫煙可 カード不可 予約可 目安2000~3000円 JR・横浜市営地下鉄桜木町駅より徒歩約5分
ゴールデンもつ
心尽くしの焼きとんと酒、そして人情のエル・ドラード
焼きとん 270円(2本)
鮮度にこだわった焼きとん。どれでも2本で270円というお手頃価格もうれしい。
もつの煮込み 330円
煮込みはもう一つの看板メニュー。濃いめに味付けされたやわらかなモツは酒のアテに最適。
ゴールデンボンバー 410円
キンミヤ焼酎を凍らせ、梅シロップをかけたもの。アルコール度数が高いので、1人3杯まで。
主な客層 30~50代、男性が多い
エプロン なし
焼き方 ガス
桜木町駅に近い「ぴおシティ」地下2階。日が高い時刻からご機嫌な酔客の姿も珍しくないこの飲食街に暖簾を掲げるのが「ゴールデンもつ」である。この店は、野毛界隈における焼きとんのパイオニア。中岫満店長によれば、5年前のオープン時には周辺には焼きとんの店はほとんどなかったそうだ。目新しくて値段も手頃、新鮮な素材を使った旨い焼きとんが評判を呼び、時を置かずに常連客で賑わう人気店となった。
「モツは鮮度が命だから、そこは絶対に手を抜いちゃいけない。とはいえ、気軽に楽しんでもらえるよう値段は極力抑えてね。だから、なかなか儲からない(笑)」
かむほどに旨みがほとばしる、心尽くしの焼きとん。しろもつやあぶらなど、部位ごとの味を口中でためつすがめつしながら酒を呷れば、幸福感がじわりと心に満ちてくる。イケる口ならぜひ試したいのが、25度の焼酎を凍らせた「ゴールデンボンバー」。ひと口飲めば、気分は一気に天国へとまっしぐらだ。中岫さんの飾らない人柄がそうさせるのだろう、店員と客の会話も弾むフレンドリーな雰囲気も心地よい。酒と肉、そして人情の黄金郷、ここにあり。
横浜市中区桜木町1-1 ぴおシティB2F 045(681)2538 11:30~22:00(LО21:30) 無休 33席 喫煙可 カード不可 予約可 目安1000~2000円 JR・横浜市営地下鉄桜木町駅より徒歩すぐ