手がけた歌詞の一人称が“僕”“俺”になっている理由
――七海さんご自身が周りからイケメンと言われることについては、どう感じているんですか?
「イケメンと言って頂けることについては嬉しいし、光栄ですけど、自分のイケメンの理想はだいぶ高いから(笑)。これからも、“こうありたい”っていうものをずっと追い求めていくんじゃないですかね」
――そんな中、8月21日にはミニ・アルバム『GALAXY』で、アーティストデビューもされました。そもそもこれはどういうものを届けたい、と思って制作に入られましたか? 聴かせて頂いた印象としては、七海さんのアーティストとしての所信表明のようなものなのかな?と感じました。
「確かに、この1枚で「新しい七海ひろきはこういう風にやっていきたい」というものを提示できたらな、という思いがありました。それをファンの皆さんにラブレターのように届けられたら、と思って制作をしていきました」
――今作には七海さんが作詞を手掛けられたオリジナル曲が5曲と、カバー曲が2曲収録されています。まず作詞された曲の共通点として、すべて一人称が“僕”“俺”だったのが気になりました。
「七海ひろきは、恋やときめきをお届けしたいので、今回は詩や歌を通してそれを実現させたくて。そうすると“僕”“俺”の方がしっくりくるんですよね」
――とはいえ、役を演じて歌っている感覚ではないんですよね?
「役という感覚ではないですね。役よりももっと自分に近いところで歌詞は書いています。男役を演じている七海ひろきとしてではなく、素の七海ひろきとしてというか。
ただ、曲によって、自分と遠いテーマの時は役になりきって書いたりもしています。今回の収録曲でいうなら『片思いの君へ』は、自分で設定を考えて、その役や状況を想像しながら書きました」
――本名の自分と、七海ひろきとしての自分と、〇〇役としての自分とがあって、歌は七海ひろきとしての自分で表現している、という。それが自然なことなんですね。
「そうですね。自然に感じているし、いちばん自然に歌えるというか。そこが普通に男性が歌う歌とも、女性らしい女性の方が歌う歌とも、どちらとも違う新たなジャンルとしてできたら良いのかな、とも思いますし」
――確かに七海さんだからこそできる表現になりますね。それから、今回、作詞をご自身で手掛けるというのは、どの段階から決まっていたことなんでしょうか?
「宝塚に在籍しているときに、一度番組の企画で作詞をしたことがあったんですけど、それがすごく楽しくて。で、今回、新曲を作るってことになって、まず1曲目の『Ambition』の作詞をさせて頂いたんです。
そしたら制作スタッフの方からご好評を頂けて、他の4曲もやってみては?という風になって、「ぜひ!」ということで」
宝塚の歌って“一回聴いたら忘れない”、というキャッチーなものが多いんです
――歌詞を書く上で意識していたことはありますか? まっすぐなメッセージが多いなと感じたのですが。
「作詞をずっとやられている方みたいに、今の私は比喩をつかってみたり、そこまで上手い表現ができるわけではないので、それなら直球勝負の方がいいだろう、って思って。できるだけわかりやすく、ストレートに言葉を紡ぐようにはしました」
――そうは言っても“宙”とか“星”とか、宝塚時代の七海さんをイメージする単語を使ってみたりも。
「アルバムのタイトルが『GALAXY』で、それを先に決めてから曲を作っていったので、連想させる言葉は入れたいな、とは思ってました。確かに、多少はファンの方を意識してましたけど、何より私自身が“宙”とか“星”とかが好きなので(笑)」
――なるほど。では、曲の方はどんな風にセレクトしていったのですか? 曲調はバラエティに富んでいますね。
「新曲が5曲ということで、似たような曲は入れたくないな、と思って。全部が全く違うテイストの曲にしたい、というは制作の方たちと相談して決めました」
――ただこれだけ幅が広がると、歌いにくかったり、不得意なジャンルの曲が出てきたりしないのかな?とも。
「今回に関してそれはなかったですね。先に曲を頂いて、それに歌詞をつけるという作業の仕方だったんですけど、自分の言葉で歌っているってこともあって、歌いにくいとかはなくて。宝塚時代から応援してくださっているお客様と、私のことを知らない方にも、楽しめて覚えやすい曲がいいなという思いはありました。
宝塚の歌って、“一回聴いたら忘れない”、みたいなキャッチーなものが多いんですよ。そういうことも含めて、“チーム七海ひろき”には、私がやりたい、って思うことを実現しようとしてくださる方々が集まっていて、私はホントに運がいいというか、幸せだなって思います」