メタボ予防やダイエット法の一つとして、すっかり定着した感のある「糖質制限」。糖質の摂取を減らすことで、結果的にエネルギーの摂取量も減るため、短期的にダイエット効果が得られやすいとされています。
しかしながら、実践した人の多くが「リバウンドや体調不良に陥った」という調査報告もあり、長期的に続けるには難しい側面もあるようです。食生活が物足りなくなり、食べる楽しみが減ってしまうと、なかなか続けづらいものがあります。
食べたいものだけ食べると、栄養バランスが崩れやすい
糖質制限に対しては、日本人ではまだ十分な治験が得られていない、といった指摘をはじめ、専門家の間でもさまざまな見解があります。必要な人が医師の指導のもとに行う場合は別として、健康な人が2年以上の長期にわたり行った場合の安全性は、保障されているわけではありません。
糖質制限を実践する中で懸念されるのは、個人の嗜好が食生活に反映されることで、栄養バランスに偏りが生じることです。一例としては…
1. たんぱく質、飽和脂肪酸の摂りすぎ
糖質を制限することで、必然的に、たんぱく質や脂質の摂取比率が多くなります。
⇒全エネルギー摂取量のうち、たんぱく質が20%を超えると、糖尿病や心臓病、がん、骨そしょう症などのリスクが増加。また飽和脂肪酸を摂りすぎる生活習慣は、同じく糖尿病、心筋梗塞などのリスクを高める。揚げ物などの油や塩分摂取が多くなる可能性も。
2. 食物繊維が摂れない
日本人はすべての年代で食物繊維の摂取が不足気味。そのうえで穀類の摂取を制限すると、さらに食物繊維が不足するおそれが。
⇒白米にはわずかな食物繊維しか含まれないが、日本人の食物繊維の摂取源として10%の割合を占める。
3. たんぱく質が不足
エネルギー源となる糖質が不足すると、筋肉のたんぱく質を分解してエネルギーを補うようになります。
⇒たんぱく質を十分に摂らないと筋肉量が低下。身体(細胞・酵素・ホルモンなど)の構成材料も足りなくなり、体調不良や肌荒れ等を起こす。