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小越勇輝が舞台に戻って来る──。約2年半ぶりとなる舞台は、辻村深月氏の小説『ハケンアニメ!』が原作だ。タイトルにもなっている“ハケン(覇権)”が意味することとは?
アニメ業界の日常や出来事をドラマティックに描き、アニメファンのみならず、広く人々の心に響き、背中を押してくれる本作。
小越が演じるのは、伝説の天才アニメ監督・王子千晴。一筋縄ではいかないこの役にどう挑むのか……。
本作への想い、幼少期に夢中になっていたもの、そしてプライベートの夢まで、インタビューでたっぷりと聞いてみた。
2年半ぶりの舞台について
──舞台『ハケンアニメ!』に王子千晴役で出演されますが、2年半ぶりに舞台に立つというのはどういう気持ちでしょうか。
小越 もちろん久しぶりなので不安というか、どうなるのかなという気持ちもありますが、ドキドキわくわく、すごく楽しみな気持ちが強いです。
舞台だから台詞を覚えるのが大変だな……というのもあまりないですね。それは今までもそうですけど。
──舞台に出られる役者の方がよく見る夢があるとお聞きするのですが……小越さんも台詞を覚えていないまま舞台に上がる、といった夢を見ることはありますか?
小越 ありますあります(笑)。台詞もそうですけど、舞台に出たはいいけど、ダンスの振りを忘れているとか、たまに見ますよ。……怖いですよね(笑)。
先日、知り合いが出ている舞台を観に行ったんですけど、その日の夢で稽古だったか舞台に立っている夢を観ました(笑)。
──それはかなり影響を受けていますね(笑)。役者仲間の舞台を観に行くことで、それが刺激になったりしますか?
小越 知り合いが出ている舞台を観ていると、舞台の面白さをあらためて感じるし、舞台に立っているみんなは輝いてるなって思います。
僕にとって『ハケンアニメ!』は2年半ぶりの舞台になりますが、今回出演者の中で僕が一番年下なんです。
それが自分の中でもすごく新鮮で。これから初日を迎えて、お客様の前に立っている自分を想像しながら、毎日の稽古で、全身でお芝居にぶつかっていけたならと思っています。
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──これまで小越さんが一番下だった現場はあまりないですか?
小越 あったのかなぁ……ちょっと覚えていないんですけど、でも最近、下の子がどんどん増えてきていますし、「もしかして、この現場で一番上?」ということもたまにあったりして。
そうすると、自分も着実に1年1年、年を取っているなぁと感じますね(笑)。
『ハケンアニメ!』は、夢を目指している人の背中を押してくれるような作品
──人生の大半を芸能界で過ごしてきているので、余計にそう感じるのかもしれないですね(笑)。
『ハケンアニメ!』の舞台出演が決まった後に原作を読まれたそうですが、読んでみた感想はいかがでしたか?
小越 純粋に面白かったです。アニメって放送や配信されているものを観ることしかないですし、過去に声を当てる仕事も多少はやったことがありますが、そこにたどり着くまでの過程……たとえば僕が声を当てるまでの過程とか、アニメの世界のことは深く知らなかったので、この作品を通して知ることができたのが良かったです。
それに、登場人物がいろんな壁や問題がある中で、成長していきながらも、自分がやっている仕事にこだわりを持ち、「アニメが好き」という愛を持って、最終的には同じベクトルに進んで行くという内容が素敵だなって。
僕もこの仕事を好きだからやっているけど、つまずいたり悩んだりすると、「なんでやっているんだろう」と思うことは多少なりともあります。
『ハケンアニメ!』でも同じように、問題やトラブルが起こるけど、好きな仕事を全うするためにそれぞれのキャラクターが自分を見失わず、まっすぐ進んで行く。
読み終わった時、夢を目指している人の背中を押してくれるような作品だなって思いました。
──今回小越さんが演じられるのが、伝説の天才アニメ監督・王子千晴という役ですが、王子のために奮闘するプロデューサーの有科香屋子とのやり取りも見どころのひとつとなってくるかと思います。
小越さんは、この2人の関係をどう思いますか?
小越 いいですよね。踏み込み過ぎず、でもちゃんと信頼し合って、繋がっていて。
作品は、有科さんの視点で王子のことが書かれていて、そこに信頼関係がしっかり築かれているのがわかるというか。
たとえ王子が途中で弱音を吐いても、「絶対大丈夫」とまっすぐに信じてくれているのは、王子にとって最高のプロデューサーなんじゃないかなって。
彼女がいてくれるからこそ、やり遂げることができるというか。……でも、有科さんは大変ですよね(笑)。
──王子が「ただのわがままな人」という感じも拭えないのですが、個人的に、秘密が明らかにされていくごとに、王子というキャラクターが愛らしく思えました。
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小越 分かります(笑)。どこか子どもっぽくて、それなのにかっこつけて見せようとしたり、有科さんに対して発する言葉にお茶目なところもあったり。
ちょっと面倒くさく見えるけど、最終的には「王子って可愛らしい人なんだな」と見えるように、舞台でも出していけたらなと思います。
原作でも、どんどん読み進めるうちに分かっていく部分でもあるので、舞台の中でちゃんと彼のいいところを表現できたらなって。
ただ今回、王子は原作の年齢と違うので、そこをどうやっていこうかなと考えていますが、そこはしっかり稽古をしながら見つけていきたいです。
今回、演出を担当されるG2さんとは初めてなので、どのように稽古を進めていくのか気になっています。
今まで一緒に仕事をしたことがある知り合いもいたので、ちょっとだけ話を聞いたりもしました。
どんな現場も毎回最初は緊張しますし、今回は特に知っている方もいないのでドキドキしていますが、これをいいパワーに変えていけたらなと。
稽古期間の1カ月の中でいろんな挑戦をして、いろんな選択肢の中から答えを出せたらと思っています。