そうですね。

舞台ってそこなんです。だから私は舞台が好きなんです。

例えば、今、私がチャレンジしたいと思っているドラマや映画だと、舞台とはまた違うと思うんです。長期的な作品の作り方をしていると思うんですが、そのなかで、作る側の人間は、どう仲良くなって関係性を作っていくのか。すごく興味があります。

それがミュージカルや舞台だと、ありのままの人間性が舞台上で生かせるし、人間同士の絆も深まるんですよね。それがすごくいいところというか。

--「舞台には、舞台裏の関係性が出る」。これは、これまでの連載で、何度か出てきた言葉ですね。(第94回)(第9回)

それはアイドル時代から気にしていたことだったから。あの頃から“ステージに上がるときは、絶対に皆とコミュニケーションをとりたい”って、思っていたから。

ステージに上がる前、イヤフォンを着けて、ひとりの空間にひたっていた板野友美のイヤフォンを取って

「ともちん、オハヨー!」

って、耳の穴の中に向かって声をかけた、このエピソードは定番です(笑)。“私が舞台へ導かれていたのは、そういうところから始まっていたんだな”って感じます。

--「舞台に立つ」という意味では、その頃から変わらないですからね。

そうなんですよね。48グループのときは大きい会場も、劇場公演もありました。

東京ドームのような大きい会場は、そこに立てることや、そこでしかできないセットがあって嬉しいけど、何百人もステージに立つとなると、その全員とコミュニケーションをとるなんて絶対に無理。

やっぱり劇場公演で16人でやるときの方が、皆のその日の「心の状態」をわかったうえで、ステージに立てるんです。

その生々しさが、私は好きだったなぁ。舞台のそこが好きなんですよねぇ。

--お休みからの復帰作も、その「舞台」となりましたね。ここからは、新事務所へ所属することになった経緯もお聞きしますね。今回の『ピーターパン』への出演は、佐江ちゃんがどの事務所にも所属していない、フリーの状態のときに決まったそうですね。

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