そうかもしれないです。突然、「違う作品に出ませんか」と言われても、1年休んでいたから、荷が重いと考えてしまったかもしれないですね。

1年以上前は周りの目を気にしすぎて、気持ちがこわばっちゃって、心を痛めて落ち込んでいた自分がいました。だから、復帰するときに、また同じ気持ちで戦っても意味がないと思ったんです。

自分の気持ちを楽にもてて、わかってくれる人が側にいる環境から、復帰後のお仕事を始められたのは本当にありがたいです。今、いちばん近くにいてくれるマネージャーさんも、すごくホッとさせてくれる方々ばかりなんです。緊張する現場でも、

マネージャーさん「いける、いける! 大丈夫!」
佐江ちゃん「緊張するけど、行ってくるー!」
「できたぁー!!」
「ダメだったぁ!!」

って、「大丈夫」っていう気持ちを共有できるポジティブな環境が、すごく私を救ってくれています。

--お休み中は、どういう形で復帰するのか、またはしないのかというプレッシャーみたいなものは生まれませんでしたか?

それも「芸能の神様に見守られているご縁」だと思っていました。だからもし、誰とも出会わず、復帰できないなら、“芸能の世界じゃなくて、一般の世界が合っていたんだと思おう”という気持ちでいました。

お休み中は、“芸能以外で何が自分にできるかな”“もし就職するなら、どういうところに勤めたらいいんだろう”って、すごく考えました。

でも、ゼロからがんばりたいと思えるものが自分になくて。ちゃんと自分で働いて生活できるくらいのお金をいただける、生きていくうえでやりたいことは、芸能のお仕事以外にやっぱり見つけられなかった。

それが『ピーターパン』が決まるまでの、お休み中に生まれた感情です。だから、『ピーターパン』は、自分が思っていた復帰のタイミングより早かったけれど、ホッとしたところもありましたし、“自分には、やっぱりここしかないんだ”って、思わせてもらえました。

--今までそういうことを考える機会はまったくなかったですよね。

そうですね。

--お休みは、それを考えるための期間でもあったんですね。今までは「芸能の世界のなかでの方向性」を考えたことはあっても、まったく違う職業を選択肢に加えることはなかったですよね。

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