『アナと雪の女王2』は「変化と歓喜」の物語
アナの「変化」
前作『アナと雪の女王』は、個人的には「愛と解放」の物語でした。
扉は開いて、愛によって凍った心を解き放たれ、離れ離れになっていた姉妹はまた手を取り合い、お互いを抱きしめることができました。
それを踏まえて、今作は、「変化と歓喜」の物語であると思います。
最初からクライマックスの話をしますが、物語の最後、エルサはノーサルドラで暮らし、アナはアレンデールにて女王になりました。
これは一番わかりやすい姉妹の変化ですが、私が注目して欲しいのは、アナの成長という「変化」です。
先ほども言いましたが、この物語はイドゥナ王妃が姉妹に歌ってあげる子守唄から始まります。
母親の子守唄を聞いてすぐに眠ってしまっていた女の子は、恋愛で失敗して、立ち直り、誰よりも人を愛せる女の子に育ちました。
短編の『アナと雪の女王 エルサのサプライズ』の最後のシーンで、風邪を悪化させてベッドにいるエルサを看病するアナは、「最高のバースデープレゼントだね」と話しかけます。
アナの誕生日を完璧にしたいがために空回ってしまっていたエルサは「どれが?」と戸惑いますが、アナは愛おしそうな表情で「エルサのお世話ができること」って言うんですよ。
って言うんですよ!!
アナの人間としての本質は、こうして愛しい人に愛しいと、心を素直に伝えることができるところにあると思います。
『アナと雪の女王2』のアナは、エルサを絶対に否定しません。
難破船を見つけたシーンでは、両親の死について責任を感じるエルサに、エルサ自身が天からの贈り物なんだよ、と言えるアナの強さは、前作では発揮されていなかった一面です。
そして物語が進み、エルサは遠くに行ってしまい、オラフさえいなくなってしまった世界で、アナはひとりうずくまって泣いていますが、夜明けとともに彼女は立ち上がるのです。
心から愛している大切な人たちがいなくなってしまった世界の、暗く冷たい洞窟の中で、それでもアナは、「次の正しいこと」を成すために、歩き出します。