今回登場いただいたのは、大塚勇渡(おおつか はやと)さんと北林玲央(きたばやし れお)さん。共に20代前半の若さで今年正式メンバーに加入したばかりの、鼓童の中でもフレッシュな同期のふたりです。今回の公演では“大太鼓”をタッグで叩き、見事なコンビネーションを披露しています。
ド迫力、鼓童のコンサートができるまで
北林「同期のライバル心ですか? あんまりないかな…バチバチしてもあれなので(笑)」
大塚「でも、似ているところはあると思います。今回の“大太鼓”でも、僕が思っていることをすぐ気づいてやってくれたり」
北林「注文が多いんです(笑)」
大塚「(笑)。ツアー中の休みの日には太鼓を叩く練習はできないので、体幹トレーニングなどをやっています。筋トレが好きな人もいるんですけど、太鼓で使う筋肉と筋トレでつく筋肉はまた違うんですよね」
北林「僕は筋トレもやります。もともと体が細いので最低限やらないとすぐポッキーみたいに細くなっちゃう(笑)。でも休みの日に筋トレしすぎたりすると本番で疲れちゃったり(笑)。先輩たちは積み重ねてきた経験がありますが、自分たちはペースがまだわからないので、試行錯誤しながらやっています」
ときに息を呑むほどの緊張感を放つ鼓童のライブ。寸分違わぬタイミングで繰り出される常人離れしたバチさばきは圧巻……! いったいステージ上ではどんなことを考えながら演奏しているのでしょうか。
大塚「ライブ中は、集中しようと思えば思うほど雑念が生まれちゃったり……とにかくそのときの理想のかたちに近づけようと頑張るという感じですね。
曲の流れは一応決まっているんですが、新鮮さを保つためにちょっとアドリブでニュアンスを変えてみたりとか、毎回ちょっとずつの変化はあります。元々ある曲は譜面を見て練習することもありますが、新曲は演出の坂東玉三郎さんと話しながら、みんなでホワイトボードに書きながら少しずつ作っていきます」
北林「新しい曲を作るのはめちゃくちゃ大変ですね。『こうしたらいいんじゃない?』と言われても、その場では技術的にできないこともあって。でも次の日にはそれをやって見せなきゃいけないし、さらに新しい課題が来るので、毎日それをクリアするのに精一杯。今回の新曲『螺旋』は、できるまでにどれくらいかかったかな……」
大塚「『螺旋』は1ヵ月くらいかな? 他の曲の稽古と同時にやっているので、曲によってはかなりかかりますね」
北林「自分の演奏ができるようになって、やっとまわりの音が聴こえてくるので、そこでまた演奏が変わることもあって。いまでも演奏をしながら気づいたり、変わっていく部分はありますね」
大塚「今回玲央とやっている大太鼓は、坂東玉三郎さんから『これまでの大太鼓の型にとらわれずにいろいろ試してみたら』というお話があり、音色や表現を音楽的に構成して作ってみようと、これまでにない音づくりをしています」