日本とスウェーデンの子育ての違いとは?
今回、お話をうかがったスウェーデンで保育士をしているよしざわたかこさんは、日本とスウェーデンの子育ての違いを次のように語ってくれました。
「日本のように、スーパーなどの公共の場で子どもが床にひっくり返って大泣きするみたいなシーンはあまり見たことがありません。
(もしそうなったとしても)スウェーデンの親は、子どもがぐずりそうになったら、子どもの目線に立ち、子どもと議論をしますね。時間的な余裕もあるのだと思います」
子どもが国によって違うのではなく、子育てをする環境があまりに違うというのが正解のようです。
スウェーデンでは、両親に合計480日の育児休暇を取得する権利があり、子どもが小さいうちは時短勤務をする人が両親共に少なくないそうです。
お迎え時間も早いと15時台、遅くとも17時半には子どもは両親のどちらかが迎えに来て、夕食は家族そろって食べるのが一般的なのだとか。
ため息が出るほど、日本とはかけ離れていますね!
日本での一般的な共稼ぎで子どもがいる家庭の一日を考えてみます。
朝はまだ眠たがる子どもを起こしたら、朝食もそこそこに保育園に連れて行き、日中は保育園からの呼び出しがないことを祈りながら働き、日が暮れてから急いで保育園にお迎えに行き、帰宅したらとにかく食べさせてお風呂に入れたらもう寝る時間で、そしてまた朝が来て、同じことの繰り返し・・・。
中には子どもが寝た後に仕事をする人もいます。
他にも、スウェーデンの子育て環境はうらやましい点がいっぱいです。
幼保一体型の教育を導入しているため、子どもは一定の年齢になったら全員が保育/教育施設である「プレスクール」に入ります。
自治体は、保護者の申込後4か月以内にプレスクールを見つける義務があります。よって、待機児童はいません。
自然と心にも余裕が生まれ、子育てが大変という意識よりもやりがいや楽しさの方が勝るのでしょう。
保育士に学ぶ「甘え」への対応
一方、日本では「子育てに悩みや不安がある親」は4割弱に上ります。普段はそれほど悩んでいなくても、突発的に悩むケースを入れればより割合は上がるでしょう。
日頃、ともすると親より子どもと接する時間が長い保育士さんは、子どもの親から相談を受けることも多いようです。
本来保育に親代わりという意味はなくとも、ときに保育士さんは、子どもにとって「第三の親」と言ってもいいくらい、子どもの育ちに関わる存在になってきているのではないでしょうか。
では、現役の保育士さんもしくは元保育士さんは、子どもの「甘え」にどう対処しているのか、お話をうかがいました。
現在、ご自身の子育て中で保育士さんを休職しているOさんは、次のように話してくれました。
「子どもの甘えについてですが、率直に言うとあっていいと思います。
甘えの内容次第ですが、抱っこして、見てほしい、そばにいてほしいなどの甘えについては、受け入れるべきだと思います。これらを“わがまま”として厳しくすると、子どもの自尊心を傷つけてしまうことになりかねません」
まさに神対応。親だとつい、「忙しいから、あとにして!」と言ってしまいがちですよね。
次に現役保育士のWさん。
「2、3歳くらいまでは、子どもはわがまま言って当たり前、怒ったりしません。わけがわからなくなることもしょっちゅうですが、子どもは悪くないですから」
親にとってみたらわざと困らせるようなことをしているだけに見える子どもの言動も、プロの保育士さんにしてみたら、想定内なのですね。
Wさんは子どもが甘えて“こまったちゃん”になったときの対応として、次のようにも話してくれました。
「なるべく気をそらせたり、楽しいことに興味を持たせるよう工夫します。
他の保育士とチームプレーで、雰囲気を変える工夫をしたり。おさえつけたりはしませんね」
では、なぜ子どもは甘えるときとそうでないときとがあるのでしょうか。
「家庭の状況や生活の変化は関係すると思います。下の子ができたり、お母さんの仕事が変わったり。
毎日会っていますから、元気がないと“なにかあったんじゃないか”とわかるんですよね」
親は毎日一緒にいるのが普通すぎて、そういったサインを見落としているのかもしれませんね。